最終話 旅立ちと再起
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だが、全てを捌き切ることは出来ず。ミサイルの濁流が、カイナの体に襲い掛かる。
それでも、逃げ出すわけにはいかない。ここでBURK隊員を死なせては、カイナは今度こそウルトラマンとして、立ち直れなくなってしまう。
――弓弦はその一心で、耐え忍んでいた。
やがて恐竜戦車の一斉砲火が打ち止めとなり、それと同時に、カイナも力尽きたように倒れ伏してしまう。
だが……恐竜戦車にはまだ、如何なる場所も踏破する強力なキャタピラという武器がある。その巨体は、倒れたカイナをひき潰そうとしていた。
「させるかぁああ!」
その時。駆けつけた琴乃をはじめとするBURK隊員達が、恐竜戦車の砲口に向けて、BURKガンを一斉に放つ。
砲身内に残された弾頭が、それにより誘爆し……恐竜戦車の体内で、凄まじい爆発が発生した。
「ウルトラマン、立ってくれ! 俺達に、お前を……ヒーローだと称えさせてくれ!」
「頑張れ……ウルトラマンッ!」
恐竜戦車がのたうちまわる中、BURK隊員達の激励が響き渡る。その叫びが――カイナを、弓弦を、動かした。
(……カイナ、聞こえるか! 君を、応援している声だ! 君を、ウルトラマンだと信じて戦う、皆の声だ!)
(あぁ……聞こえる! 聞こえるぜ、ユズルッ!)
震える膝に力を込め、ビルに寄りかかりながら。カイナは、再び立ち上がった。そして――全てに決着を付けるべく。
腕を十字を組み……狙い撃つ。
『――ゼナリウム光線ッ!』
刹那。カイナと弓弦の叫びが重なり合うと、蒼い電光が一条の閃きとなり――恐竜戦車の体に直撃する。激しい閃光と火花が噴き上がり、怪獣の咆哮が響き渡った。
『うおぉ……おぉおおぉッ!』
恐竜戦車の装甲は厚く、蒼い光線は一向に通らない。だが、2人はそれでも諦めることなく、争い続けた。
――力を使い果たし、光線が弱まった瞬間。恐竜戦車による怒りの一斉砲火を浴びるまで。
『ぐあぁあぁあッ!』
2人の絶叫が重なり合い、カイナの巨体が後方に吹き飛ばされる。ビルをなぎ倒しながら、轟音と共に仰向けに倒れたその躰は――再び、BURKの隊員達の前から消滅してしまった。
「ウルトラマンが……負けた……」
「あの光線を浴びても、死なないなんて……!」
「……諦めるな! その昔、科学特捜隊はウルトラマンを倒したゼットンを破り、地球人の手で故郷を守り抜いた! 今こそウルトラマンの想いを継ぎ、我々が立ち上がる時なのだッ!」
だが、そんな絶望的な状況の中でも。BURKを率いる隊長は光線銃を撃ち放ち、怯むことなく戦い続けていた。
周囲の隊員達もその勇ましさに惹かれるように、1人、また1人と戦線に復帰していく。
◇
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