第3話 ウルトラマンと少年
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しているこの状況でも、活路を見出せずにいる。もはや、そんな余力は残されていないのだ。
このままでは、やられてしまう。そう焦る弓弦と、ウルトラマンの視線が交わった――その時だった。
『助けて……くれ!』
「……!? ウルトラマンの声……なのか!?」
弓弦の脳内に直接、知らない声が入り込んでくる。それが意味するものを彼が理解した瞬間、ウルトラマンは深く頷いた。
『あぁ……そうだ。ぐっ! お、俺は地上では長くエネルギーが持たないんだ! この地球上でエネルギーを回復させるには、人間の姿を借りなきゃいけない……でも、俺には地球人に擬態する能力がないんだ! ぐふっ!』
「このままだと体がもたないってことか……! だけど、どうしたら……!」
『これだ……! これを使えば、俺はお前と一体化して、エネルギーを回復出来る……!』
すると、ウルトラマンの目が光り――弓弦の手元に、赤いペンライトのようなものが現れた。
「一体化……! 擬態の代わりに、俺の体でエネルギーを回復するってことか!」
『そ、そうだ……がふっ! た、たの、む……』
「わかった……! よし、行くぞッ!」
弓弦は躊躇うことなく、ペンライトのスイッチを押す。ウルトラマンの体が一瞬で消え、彼を打ち据えようとした恐竜戦車の尻尾が、地面に突き刺さったのはその直後だった。
「今だ! 一斉射撃ィィィ!」
勢い余って尻尾を突き刺してしまったせいで、身動きが取れなくなった恐竜戦車。その好機に乗じて、BURKの隊員達が一斉に光線銃を放ち始める。
この混乱と激戦に乗じて、弓弦はペンライトを手にしたまま、市街地から離れるように走り出すのだった――。
◇
市街地からやや離れた、丘の上の公園。そこにたどり着いた弓弦は、未だ街中で激戦が続いている様子を遠巻きに眺めながら、ベンチに腰掛ける。
――ウルトラマンと一体化した影響なのか、かなりの距離を走ったにもかかわらず、疲労は全くなかった。
『ありがとう……お前のおかげで、命拾いできた。俺はカイナだ』
「どういたしまして、オレは風祭弓弦。……えぇと、ウルトラマンカイナって呼べばいいのかな」
『よしてくれ、俺はウルトラマンなんて器じゃない。カイナって呼んでくれればいい。……ちなみに、俺が渡したそれはカイナカプセルって言うんだ。さっきのスイッチを押せば、お前は再び俺に変身することになるから、気をつけてくれよ』
ペンライトから、ウルトラマンの声が聞こえてくる。カイナと名乗る彼は、どこか憂いを帯びた声色だった。
「そうか……。じゃあ、カイナ。君は……あの怪獣を追ってこの星に来たのか?」
『あぁ、まぁな。……といっても、あんまり綺麗な理由じゃない』
「……?」
『……命の恩人に隠
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