第一物語・前半-未来会議編-
第十章 夜中の告白者《4》
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まぬが黄森の隊員殿、その手を離されよ」
「何を言うか、こちらの警告を無視しているのはこの者であるぞ」
「その者を捕らえたのは自分で御座るよ。一つの頼みぐらいは神州瑞穂の代表ならば、四の五の言わず聞き入れる広い心を持たれている筈」
「……少しだけだぞ」
ここで頼みを断れば、反抗心を抱かれるかもしれないと思い、腕を前に押していた隊員はそれを緩めた。
忍者は頭を軽く下げ、感謝の意を表す。
コンクリートの冷たさを感じながら、セーランは顔を上げる。
「あんがとな」
「少しの時間しかないゆえ、早々に申されよ」
ああ、と頷き話す。
「お前達の長に伝えてくれ。愛を待ってろ、て」
「諦めていないので御座るな、ならばどうするで御座るか?」
「愛ゆえに距離を縮めたい」
「ならば伝えよう、それが届くことは本人次第で御座ろうが」
伝えることは伝えた、だからセーランは顔を落とした。
忍者の走る音が、地に伝わってくる耳から聞こえる。
黄森の隊員はそれを見て、空にいる自分達の艦に光系術で合図を送る。
大気を震わせ、騒音と共に艦が降りてくる。辰ノ大花の艦を隠すように前に。
地に着き、地が少し震えた。
黄と白の艦は燃料の補給と、日来の長を回収するため三艦が空から降りた。
セーランは隊員により捕らえられた。
午後七時十三分、この暴動は収まりこれを起こした学勢全員は捕らえられた。
覇王会会長を除く、この暴動に協力したものは取り調べを、覇王会会長はこれを起こした張本人のため黄森の直接監視に置かれた。
それから数分後、日来の監視のために呼ばれた増援艦が日来に到着。
予定より到着が遅れたが、着々と日来の完全監視体制の準備が進む。
日来に来たのは彼らだけではない。
空から落ちてくるものがある。
当たると冷たく、液体状のもの。
雨だ。
始めは弱く降っていたが、時間が経つにつれ徐々にその激しさを増す。
汚れを洗い流すように、強く地面に打ち付ける。
ただ黙々と、空から地に向かって落ちてくる。
その雨は止むことなく、日が移り変わっても降り続けていた。
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