第一物語・前半-未来会議編-
第十章 夜中の告白者《4》
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だ。
●
セーランは走り続けていた。
甲板にはすでに、宇天学勢院の長は見えない。
背中に背後から螺旋に回る銃弾の衝撃を受けながらも、足を一歩ずつ確実に前に出す。
黄森の隊員達は自分に近づかず、離れた距離からの銃撃に徹していた。
理由は分かっている。
俺を負傷させて覇王会から離して、その間で色々する気だろ。
覇王会定則には、覇王会会長に穴が空いた場合、残りの覇王会の者か臨時で高等部学勢がその穴を埋めることとなっている。
外交関係にめっぽう強い飛豊ならまだしも、他の者達では対応には無理があるだろう。
社交院に所属している者に助けを求めれば手を貸してくれそうだが、覇王会と社交院の考えは別なのだから無理だと推測した。
今自分が走るのを止め、取り押さえられれば一番いいのだがそれは止める。
今この走りを止めれば、もう届かないと感じてるからだ。
不安と共に、彼は走っていた。
想い人の死を告げられ、それを黙って待っているわけにはいかなかった。
だから求め、走った。
「これで――、っ!?」
三百メートルを切ろうとしたときだ、突如上から何かに取り押さえられた。
体が前に倒れ、コンクリートの地面が顔にぶつかる。
衝撃と共に、重りが背中に加わった。
左腕を掴まれ、背に押さえつけられる。
誰なのか、セーランは首から上を後ろへ動か確かめる。
「お前は宇天覇王会の伝達者」
「悪く思わぬように、これが辰ノ大花の日来に対する答えに御座る」
「立ち止まれ、か」
くそっ、と悔しみの言葉を吐いた。
後方にいた黄森の隊員達は、それを見て一瞬止まっていたが動き出した。
「日来の長が取り押さえられた、直ちに拘束し連れていけ!」
「「了解」」
そう言い、六人の隊員が近づいてきた。
束縛系術を掛けられ両足は光の縄で、左の手は体ごと巻かれた。
拘束が完了し、上に潰すように乗っていた忍者は離れた。
セーランは体を無理に動かし、逃げ出そうとするが黄森の隊員により地に押されその動きを停止させられた。
しかしそれでも動くセーランに、忍者の代わりに取り押さえている隊員の一人は背の上に乗っている腕を前に押し、関節を外そうとする。
これ以上動くな、と警告している。
引っ張られ、今にも外れそうな痛みが左の肩から伝わってくる。
「ご協力感謝する、黄森を代表しお礼申し上げる」
「同然のことをしたまで、後は黄森の方に任せるで御座る」
そう言って、忍者は正面に停泊している辰ノ大花の戦闘艦に向かい走り出そうとする。
それを見て、セーランは痛みを無視し声を上げる。
「宇天の伝達者、止まってくれ。言いたいことがある!」
「いくら覇王会会長だろうとこれ以上の行動は身を傷付けると知れ!」
「す
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