第1話 流星と博物館
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アイドルとして知られる美少女――綾川梨々子。
艶やかな黒髪をショートに切り揃えた彼女は、その白い柔肌と美貌に加え、推定Gカップの巨峰という圧倒的プロポーションの持ち主でもある。
加えて、地球の平和を預かる防衛チーム「Bureau?of Ultra Repose Keeping」――通称「BURK」の司令官を父に持つ、御令嬢でもあるのだ。今でも、こっそりとBURKの隊員がこの近くに紛れ、彼女を護衛しているのである。
まさに天が一物も二物も与えたような美少女なのだが……男の趣味は、いまひとつらしい。
「ふーん……こんなウルトラマンもいたんだ。これはオレも初めて見るなぁ」
「これはね、ウルトラマンジョーニアスっていうの。U40からやって来た、かなり特殊なウルトラマンなんだよ!」
「へぇ……綾川さん、詳しいんだね」
「えへへ、ちょっと予習してきちゃった」
立像を眺める弓弦の隣に歩み寄り、ウルトラマンの解説を始める梨々子。――実は彼と話すきっかけを掴むために、わざわざウルトラマンのことを猛勉強していたのだが。当の弓弦は、知るよしもない。
「やれやれ……ま、ここは親友として素直に応援しといてやりますか」
そんな親友の姿を、苦笑交じりに見守りながら。智花は、学園のアイドルに話し掛けられても相変わらずのほほんとしている弓弦に、ため息をつくのだった。
――梨々子に構われている弓弦に、周囲の男子達が殺意の篭った視線を向けるのも、今となっては日時茶飯事なのである。
その渦中にいる梨々子には今日、ある目的があった。それは、この後の昼食に彼に手作り弁当を渡して、告白する――というもの。
小学生時代から弓弦を恋い慕っていた彼女は、この高校三年間を恋人同士として過ごしたいと願い、今日を決行日に選んでいたのである。
(こうして、風祭君と2人で博物館を見て回って、最後に2人で一緒に食べて……よ、よし。頑張ろう)
猛勉強で得たウルトラマン知識を披露するごとに弓弦に褒められ、その度にガッツポーズを決める梨々子は、期待に胸を高鳴らせながら、軽やかな足取りで館内を歩んでいる。
(よっぽどウルトラマンが好きなんだなー、綾川さん。すっごく楽しそうだ)
その様子を微笑ましく見つめる弓弦には、全く伝わっていなかったが。
◇
一方。一般人に扮して、司令官の娘である梨々子を見守っている女性隊員は、定時連絡で上官に現状を報告していた。
亜麻色のストレートを艶やかに靡かせる、切れ目の美女である彼女は――なんとも言えない表情で、梨々子と弓弦を見つめていた。
「――こちら駒門。梨々子お嬢様の近辺に異常はありません。相変わらず例の少年にベッタリで
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