第17話 決意の戦姫達
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立った。
ペイルウイングのユニットを纏う、巨峰の持ち主は――鋭い眼差しで、フィリダの瞳を射抜く。腕を組む彼女の胸が、たわわに揺れ動いていた。
「カ、カリンさん……!? どうしてここに……!?」
「呆れた。父さんが義兄さんのために用意した戦力が、あんな筒1本だと本気で思ってたわけ? 『白金の姫君』が聞いて呆れるわ」
「……! カ、カリンさん、私達のために日本から……!?」
「勘違いしないで。私は、義兄さんを守るために駆け付けて来たの。泥棒猫なんてどうだっていいわ。……父さんは心配するだろうからって、義兄さんには私が来ること言ってないらしいけど」
――極東支部副司令の娘にして、1ヶ月でペイルウイングの訓練過程を卒業した才媛。その名声を背負う一文字かりんは、フィリダの顔を見るなり鼻を鳴らす。
「ま……あなたの情けない顔を見れただけでも良しとしてあげるわ。……で、結局どうするの?」
「ど、どうっ、て……」
「私、前に言ったわよね。次会うまでに義兄さんを落とせなかったら、私が貰うって。……足が竦んでるならちょうどいいわ、ずっとそこで震えてなさい。義兄さんはソラスを片付けてから、私がそのままお持ち帰りするから」
「なっ……!」
あからさまに挑発して来る彼女に対し、フィリダは眉を吊り上げる。……すると、生気を失っていた彼女の眼に、微かな光が灯った。
それを見逃していなかったかりんは、ニヤリと口元を緩める。
「これで分かったでしょ。あなたなんかじゃ、義兄さんの力になんてなれない。そんなあなたに義兄さんと添い遂げる資格なんて、これっぽっちもありゃしないわ。あの巨獣なら私と義兄さんで始末してあげるから、あなたは全てが終わるまで、ここで震えていればいい」
「……!」
「フィ、フィリダ……!」
かりんはさらに言葉を並べ、フィリダをなじる。血が滲むほど拳を震わせ、唇を噛みしめる彼女に、コリーンは心配げに声を掛けた。
――その時。
「……渡さないわ! あなたなんかに、リュウジは渡さない! 私はこれからもずっと、あの人と一緒に……このロンドンで生きていく! 失った笑顔を、幸せを、取り戻すために!」
「……ようやく、それっぽい面構えになったわね。もう戦闘は始まってるはずよ、混ぜて欲しけりゃ40秒で支度なさい!」
「そんなに……いらないわ!」
フィリダは燻っていた想いを爆発させ、テントの裏に備えていたユニットを素早く装着する。
強い意志を感じさせる、その手際と目付きを前にして――かりんは不敵に笑う。好敵手を見つけたかのように。
一方、戦う決意を固めたフィリダは、勇ましい面持ちでコリーンに向き直る。気勢を取り戻した親友を見つめるコリーンも、どこか安堵した様子だ。
「ごめんなさ
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