第15話 追い縋る因縁
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る普段の用途だ。
だが、今……避難経路を確認するための地図の上には。物々しい鉄製のケースが乗せられていた。
それを目にしたバーナデットは、苦い表情で息を飲む。
「……これが本部の回答、か。彼らは、我々を見殺しにしたいのか……?」
「本当にそうなら、これすら渡されなかったでしょう。……いや、これも副司令の働きかけがあってこそ。それだけ、我々に対する優先度が低い……ということなのは間違いないかと」
リュウジは、そんな彼女を一瞥した後――神妙な表情で、そのケースを開く。
その中に積まれていた、1丁のロケットランチャーを目にして……バーナデットは、居た堪れない様子で目を伏せた。
「済まない……アスカ隊員、済まない。我々は、君をここに招くべきではなかった」
「……以前に申し上げたでしょう。ここまで来たのは、私自身の意思。全ては、私の選択によって導かれた結果です」
ランチャーを手にしたリュウジは、その砲身の点検を始める。穏やかな口調でそう呟く、彼の眼は――この先にある「戦い」に向けて、鋭利に研ぎ済まされていた。
――ボルケーノ-6W。
かつて「伝説の男」が使っていた、EDF最高峰の火力を持つ携行兵器であり……その余りに強大な火力のため、大勢の同胞を巻き込んだこともあったと言われる、曰く付きの代物だ。
「皇帝都市」との決戦で行方不明となった持ち主の手を離れ、つい先日までは本部で厳重に保管されていた。……それが今、リュウジの手に渡っている。
これが、救援を求めるイギリス支部に対する、本部の回答だったのだ。
この呪われし武器を以て、最後の巨獣を駆逐せよ――という。
「……これを扱える陸戦兵は、現状私1人です。ゴリアスすらまともに撃てない子達に、こんな呪物を託すわけにも行きませんから」
「それにしてもッ……この対応は理不尽にも程があるッ! 君に死ねと言っているようなものだ!」
「死ねと命じられた覚えはありません。……刺し違えてでも、といったところでしょう」
「同じだ! ――くッ、イチモンジ副司令の力添えがあっても、この1丁が限界だなんて……!」
これはもはや、イギリス支部を殲滅せんとする「本部の罠」だ。
そう言わんばかりに激昂するバーナデットに対し、リュウジ本人は至って落ち着いた様子で、ボルケーノの整備を続けている。
「限界もなにも、この1丁があれば十分ですよ。ここは、私に任せてください」
「無茶を言ってくれるな! 『伝説の男』にでもなったつもりか!?」
「――ならば今こそ、なるべき時なのでしょう。なにせ私は、『うぬぼれ銃士』ですから」
「……っ!」
ほんの一瞬。整備の手を止め、リュウジはバーナデットに視線を向ける。その瞬間、彼女は吐き出そうとしていた
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