第15話 追い縋る因縁
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を否定していたアーマンド達も同様だった。
戦うべきだ。俺達はEDFだ。そんな叫びが、何度響いたかわからない。その都度、リュウジとバーナデットが彼らを宥めていたが――彼らも、臥薪嘗胆の思いだった。
――そして、そんな状況が幕を開けてから、1週間が過ぎた頃。
じわじわと追い込まれて行くイギリス支部の苦境を目の当たりにした、極東支部の一文字昭直副司令は――ある一つの決断を下す。
◇
「……くそッ!」
荒れ果てた市街地の中に設けられた、難民キャンプ。
そこで健気に生きる人々を、遠目に眺めながら――見張りを務めているアーマンドが、怒りを吐き出すように瓦礫を蹴りつける。
隣に立つコリーンも、どこか沈痛な面持ちだ。復興が進まない街を見つめるその表情には、かつての明るさが全く窺えない。
難民キャンプで炊き出しをして、市民を励ましているフィリダも、笑顔の中に潜む不安げな色を隠せずにいる。そんな彼女に向け、顔見知りの人々は朗らかな笑顔で、激励の言葉を送っていた。
こんな状況でも、街の人々は恨み言一つ吐かずに、笑顔で生き抜いている。そればかりか、先行きの見えない不安に駆られた若い隊員を、励ます者さえいた。
こんな話があるだろうか。市民を守るべきEDFの隊員が、何もできないどころか、その市民に励まされるなど。
誇りという誇りを、根こそぎ奪われ続けている。そんな苦境の中、己の非力さに憤るアーマンドは――ふと、顔を上げた。
「……そういや……ここんとこ、アスカの奴を見ないな」
「教官と何か話されてるんじゃない? 今後の……避難先とか」
「チッ! 一体、いつまで続くんだ、こんなこと……!」
リュウジの過去を聞いたアーマンドには、わかっていた。ソラスという巨大生物が、彼にとってどれほど因縁深い相手か。
本来なら、何を置いても真っ先に戦いたいはず。雪辱を果たしたいはず。なのに、市民ばかりか自分達まで無力なせいで、戦う暇さえなく避難先の確保に明け暮れている。
どれほど悔しいか。無念か。それは、察するに余りある。
――その思いは、フィリダも同様だった。
街を幾つ壊されようと、人々の命が続いている限り復興の見込みはある。いつもなら、そこに活路を見出し、明るく笑って市民を勇気付けていたはずだ。
しかし、今の彼女の笑顔には、その力強さがない。リュウジの胸中を思えば思うほど、胸が締め付けられていくのだ。
(……リュウジ……)
市民の励ましを受けても。人々の笑顔を目にしても。その痛みだけは、ぬぐい切れず。フィリダは憂いを帯びた眼差しで、指導者達が集まるテントに視線を向けていた。
◇
――市民及び、EDF新隊員を避難させるための会議を行う。それが、このテントにおけ
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