第13話 スカイハイ・キャットファイト
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加速させていく。緊急チャージが近いことを知らせる警告音にも、耳を貸さず。
(何より……義兄さんが大切なものを失ったまま、他所の国に使い潰されるなんて、絶対に許されないッ! フィリダ・エイリングのものになんて、させるわけにはいかないッ! だから私が義兄さんのものになる! 義兄さんの子を私が産んで、1つでも多くの幸せを、あの日から取り返すッ!)
かりんの飛行ユニットは、緊急チャージの警告を無視した加速を続ける余り――ついに、煙を噴き出すようになっていた。その暗雲に、観衆の間にどよめきが広がる。
「いかん! 減速しろ、かりんッ!」
「おいヤベェぞ! あの高さから緊急チャージで落下なんてしたら……!」
昭直とアーマンドも、緊迫した面持ちで事態を見守っている。対して、リュウジは平静を崩さないまま、真剣な表情で勝負の行方を見つめていた。
――そして。
(もう少し! もうちょっと! あと、ほんの少しだけ……ッ!)
上端に当たる部分が視界に大きく映り――かりんの白い手が、懸命に伸ばされた瞬間。
その時が、ついに訪れた。
「……ぁあっ……!」
届いたはずの場所が――遠ざかって行く。
手を伸ばしても、決して届かない。
その現実に打ちのめされ、彼女の目元から溢れた雫が――空高く舞い上げられていく。同時に、下にいるであろう大勢の観衆から、悲鳴が上がっているのがわかった。
(……姉、さん……)
何も取り返せないばかりか、自分まで命を失うことになり――かりんは表情を絶望の色に染めたまま、空を仰いだ。
――が。
「……ッ!?」
その直後。かりんの背後に、衝撃が走る。地面に激突した――にしてはあまりにも弱いショックであり、何よりそれにしては早すぎる。
何事かと、彼女が振り返った先には――亡き姉に似た微笑を浮かべ、自身を見遣る少女の姿があった。
彼女――フィリダ・エイリングは、緊急チャージで落下するであろうかりんの背後に回り込み、受け止める準備をしていたのだ。
世に言う「お姫様だっこ」の体勢でビッグベンの上端へ向かう「白金の姫君」の姿に、観衆から爆発的な歓喜の声が上がる。
「……ど、どうして……!」
「EDFは、仲間を決して見捨てない。ペイルウイングじゃなくても、わかっていて当然よね?」
「……っ!」
動揺した表情のかりんに対し、フィリダは穏やかな面持ちのまま天を翔け――ビッグベンの頂にたどり着く。2人同時にゴールを迎えたこのレースだが、勝敗は誰の目にも明らかだった。
「あ、危ないところだった……まさか、あそこでエイリング隊員が救助してくれるとはな」
「アスカ、お前妙に冷静だと思ってたが……こうなると読んでやがったな? 人が悪いぜ、全
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