第10話 再会、義兄と義妹
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窓からひょっこりと顔を出してくる。
その身分というものをまるで弁えない発言に、フィリダは眉を吊り上げる。バーナデットに至っては、憤怒の形相となっていた。
「ア、ア、アーマンド! こちらは視察にいらしているイチモンジ副司令よ!?」
「あ? 副司令? このしなびたおっさんがか?」
「マルスレイィイ! 貴様、死にたいらしいな!」
「ははは、1隊員におっさんと呼ばれたのは始めてだ。なかなか見所のある青年じゃないか」
だが、おっさん呼ばわりされた昭直本人は、むしろ楽しんでいるかのように笑っている。そんな父の隣で、かりんは冷たい表情のまま溜息をついていた。
なんとレベルの低い隊員だろう、と。
「アーマンド、降りてきなさい! 今日という今日は始末書じゃ済まさないわ!」
「マルスレイィィ! 今すぐ降りろ! この場で八つ裂きにされたいかァ!」
「おいアスカ。極東支部のお偉方がお目見えらしいぜ。同郷なんだし、挨拶しとけば?」
「――ッ!?」
だが。バーナデットとフィリダの激怒を浴びてなお、涼しい顔で昭直を見下ろしているアーマンドの発言に。
無表情を貫いていたかりんが、初めて目の色を変えた。同時に、昭直の表情が一瞬で引き締まる。
「本当ですか?」
「あっ、リュウジ! もう、あなたからも何とか言ってっ!」
「アスカ隊員、君の監督不足だぞ! 前大戦の勇士と名高い『うぬぼれ銃士』でありながら、なんという体たらくだ!」
そして、資材を積んだ荷台から。右目に傷を持つ黒髪の陸戦兵が、顔を出した瞬間。
「……義兄さぁあぁんっ!」
突如、かりんが表情を一変させる。
誰よりも、何よりも愛しい人に会えた。そう言わんばかりの、幸せに満ちた華やかな笑顔を浮かべた彼女は――飛行ユニットのバーニアを噴き出し、陸戦兵に突撃する。
「……なっ!」
そのかりんの豹変に、昭直を除く全員が驚愕と共に固まってしまい――リュウジ自身も、反応が間に合わずに突撃を食らってしまう。
当たる直前に本人が減速していたため、車上から吹っ飛ばされるほどには至らなかったが、思わぬ体当たりを受けたリュウジは大きくよろめいていた。
「義兄さん、義兄さん……あぁ、竜士義兄さんっ!」
「うわっ、と……! か、かりんさん……!? どうしてあなたまで……!」
そんな彼の逞しい肉体に、その豊満な肢体を隙間なく密着させ、かりんは全身でリュウジを抱き締める。さらに自分の匂いをマーキングするかの如く、胸や腹、脚をしきりに擦り付けていた。幸せに満ち溢れた、恍惚の笑みを浮かべて。
一方、予期せぬ人物の体当たりを不意打ちで浴びたリュウジは、戸惑いながら彼女の肩に手を当てていた。
リュウジが現れた瞬間、冷酷な表情を一変
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