第8話 義妹が来た!
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――戦後を迎えたあの日から、数ヶ月が過ぎた。地球の季節は冬を迎え、辺りには雪が降り積もるようになっている。
皇帝都市陥落による第二次インベーダー大戦の終焉以来、人類は驚くべき早さで復興を進めていた。この戦争で齎された技術を用いて、前大戦後のそれをさらに凌ぐ恩恵を手に入れたためだ。
今では、その力を手にした人々の手により、世界中の都市がかつての活気を取り戻そうと――息を吹き返しつつある。
そんな再生の時代の中――イギリス、ロンドンでは。
「どっ……こらせっ!」
「おーい、アーマンド! こっちも頼むぜ!」
「わーってるよ! ちったぁ大人しく待ってろ!」
EDFによる復興作業が、順調に進められていた。陸戦兵やエアレイドなど、力に秀でた男性隊員は力仕事に従事し、ペイルウイングやオペレーターは事務作業に出ている。
大量の資材を豪快に持ち上げ、廃墟となった町々を歩む若きエアレイド――アーマンド・マルスレイは、つるんでいる仲間達と共に作業を続けていた。
「アーマンドさん、それはその車両に積載してください。次はあっちの資材をオックスフォード・ストリートのジョン・ルイスまで」
「へいへい。……ったくよぉ、人使いが荒いぜアスカ。ちったぁお前も手伝ったらどうなんだい」
「あはは……申し訳ありません、これが私の任務ですから」
彼らの作業を監督し、資料を手に指揮を執る陸戦兵――リュウジ・アスカは、苦笑いを浮かべて四角眼鏡の端をくいっと指先で上げる。レンズ越しのその視界には、どれほどの資材をどこに届けるかを全て記した、膨大な量の資料が映されていた。
「……そういやぁ、聞いたかアスカ? なんでも今日、極東支部からお偉いさんが来るらしいぜ?」
「えぇ。存じております。極東支部副司令と、その御息女が復興作業の視察に来られると」
「今頃、フィリダが対応してんだろうな。なにせあいつは、ペイルウイングの一隊員である前に、エイリング家のご令嬢だもんなぁ。ま、俺達みてぇな末端には関係ねぇさ」
「――そうですね」
「……?」
どこか含みのある言葉を残し、リュウジは再び資料に視線を落とす。そんな戦友の姿を訝しみながらも、アーマンドは生真面目に作業を続けていた。
「野郎どものみなさーん! お昼の用意が出来ましたよーっ!」
――元気なペイルウイングの呼び声を、耳にするまで。
栗色のロングヘアを靡かせる彼女――コリーン・マクミランはロンドン基地でも人気が高く、彼女の一言に多くの男性隊員が歓声を上げていた。「カフェ・マクミラン」の看板娘の美貌は、一般客以外も惹きつけていたのである。
「やれやれ……相変わらずキンキンうるせぇ女だな」
「と言いつつ、お腹が鳴ってますよ。アーマンドさん」
「る、るせぇ!
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