第7話 君が笑ってくれるなら
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――ようやく、前に進めたと感じた少女は、満面の笑みで答えるのだった。それを目にして、コリーンは思わず目を剥く。
それは――長い付き合いの親友が久しく見ていなかった。心からの、笑顔だったのである。
(……今はただ、この街を守り抜こう。これ以上、何も失うことがないように。そうすることで、もしも――君が笑ってくれるなら、オレは……)
そんな彼女の、輝かんばかりの笑顔を見守りながら。リュウジは微笑を浮かべ、右目の傷から指先を離す。
少女の笑顔に希望を見た今なら――もう、この傷が痛むことはないのだから。
――ところが。
「……ところで、気になったんだけど」
「どうしました? コリーンさん」
「アスカさん、一体今いくつなの? 2年前の前大戦から活躍してるって聞いてるけど――どう見たって私達と同年代じゃない!」
「まぁ、日本人は欧米人より若く見えるそうですし。私は今年で24になります」
「ちょっ……えぇ!? 24って……私達より7つも上だったわけぇ!?」
「ええ、まぁ。1年前に結婚して、子供も産まれる予定だったのですが、今大戦で……。あ、いえ、すみません。気になさらないで下さい、極東支部ではよくある話ですから」
「しかも妻子持ちぃいぃい!? そしてバツイチぃいぃい!?」
著しくデリカシーに欠けるコリーンの発言により、次々と明らかになる事実を耳にして。
「……う〜ん……」
「ああっ! 恋する乙女のセンチメンタルが砕けたっ! しっかりしてフィリダぁあ!」
驚愕する親友の隣で、フィリダは泡を吹いて昏倒するのだった。
――これが。とある戦後の、平和な一幕である。
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