第6話 うぬぼれも才能
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から」
「……!」
「ありがとうございます。今まで、よく一人で頑張ってくださいましたね。これからは及ばずながら――私も助太刀致します」
「……ぅ、ぁ」
「ですから、これからは――この平和な時代の中で。共に戦って行きましょう。もうあなたは、一人ではないのですから」
心の奥底で、望んでいながら。そんなことを望む資格はないと、理性で封じ続けていた言葉が。彼の口から、彼の腕の中で語られた時。
最後の一線として張り詰めていた少女の糸は――切れてしまった。
「ぁ……ぅ、あ……ぁあぁああぁああぁあんッ!」
貴族の子女として。英国の名士として。EDFのエリートとして。
17年の人生をかけて積み上げてきたプライドが、瓦礫のように崩れて行き。
子供のように。ただの、か弱い乙女のように。彼女は、リュウジの胸の中で泣き叫ぶ。ただひたすらに、その温もりに甘えながら。
そんな彼女にリュウジは何も言わず、ただ静かに。震える肩を優しく抱き寄せ、慈しむように彼女を見守っていた。
――そして。
「やれやれ……正面に立ったらいけないんじゃなかったのかよ。自分ならいいってか? 筋金入りの自惚れ野郎だぜ、全く」
「なーおい、いいのかアーマンド。実は結構気にしてたんだろ、エイリングのこと」
「け、バカ言ってんじゃねえ。誰があんな疫病神」
「の割りには、さっきはえらく優しくしてたよなー」
「なー」
「だあぁああうるせぇ! てめぇら黙らねえといい加減にシメ上げ――わぷっ!」
エアバッグに圧迫された格好のまま、戻ってきた仲間達にからかわれていたアーマンドは――顔を赤くして喚き散らしながら、本人に知られることのないように、少女の背を見つめていた。
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