第6話 うぬぼれも才能
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女――の後ろにあった壁を抉り取った。
間一髪、本能で回避した彼女は、素早くレイピアの銃口を敵方へ向ける――が。再び、彼女の行動を縛る現象が発生してしまった。
「……あ……!」
引き金を引いても、赤い閃光が出ない。その事態を目にして、ようやく彼女は緊急チャージの警告音に気づくのだった。
「くッ……!」
「やべぇぞ! あんな狭いところじゃ盾にも……!」
その状況を前に、アーマンドとリュウジは揃って眉を顰めた。フィリダと巨大甲殻虫がいるのは住宅街の隙間。ギガンテスでは入れないし、ゴリアスで砲撃すれば建物の破片で確実にフィリダを巻き込む。
だが、このままでは――確実にフィリダは喰い殺されてしまうだろう。近くにギガンテスを停めて小銃を出している頃には、彼女は肉塊になっている。
「マルスレイ隊員、このまま突っ込んでください!」
「なんだって!? 無茶も大概にしやがれっ! そんなことしたら建物につっかえて、あんたが反動で確実に吹っ飛ぶぞ!」
「構いません、早く!」
この事態までは想定していなかったのか、リュウジの声は切迫しているようだった。その声色から状況の重さを改めて察し、アーマンドは歯を食いしばる。
「ちっ……どうなっても知らねぇぞ!」
そして、アクセルを全力で踏み込み――最大戦速で、フィリダのもとへ突進していく。
「これで死んだら――訴えてやるぅぅうぅッ!」
青い鉄塊はただ真っ直ぐに突き進み――やがて、建物と建物の両角に激しく衝突した。
辺りに轟音が響き渡り、アーマンドの視界をエアバッグが埋め尽くす。同時に、リュウジの身体がその反動で前方に吹き飛ばされ――建物の隙間へと転がって行く。
「――諦めない。オレは、絶対に君を諦めないぞッ!」
その手にはすでに小銃――AS-18が握られていた。ギガンテスに備え付けられた、予備の1丁を持ち出していたのだ。
「……ッ!」
「きゃっ……!?」
そして、逃げ場のないフィリダにとどめの牙が向かう瞬間。跳ね飛ばされた勢いのまま飛び込んできたリュウジが、彼女の体を抱きしめ――そのまま転倒した。巨大甲殻虫の牙は、予期せぬ来客により空を切る。
――刹那。
フィリダを腕の中に抱き、激しく転がりながら――リュウジは背中を壁にぶつけ、勢いを殺すと。AS-18の銃口を瞬時に構え、少女の体を胸に抱き寄せたまま、発砲する。
狙いは――巨大甲殻虫の口の中。
自身を喰らおうと開かれた口に、大量の銃弾を叩き込むリュウジは、敵が血飛沫を上げて動かなくなる瞬間まで――攻撃の手を緩めることはなかった。
「……」
『巨大生物の全滅を確認! 各員、武器装備を点検し、帰投せよ!』
やがて。レーダーから全て
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