第6話 うぬぼれも才能
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る。そして、レイピアの赤い輝きが――黒い影を切り裂いて行った。
今までの借りを返す、と言わんばかりの攻勢に、アーマンドは軽く口笛を吹く。
「ヒューッ! やっぱペイルウイングは違うねぇ! こりゃ1分も経たねえ内に、あんたのスコア抜かれちまうんじゃねぇか? 先生!」
「それならいいんですけどね。ただ、ペイルウイングはその機動性と攻撃力の引き換えに、耐久力の面で陸戦兵やエアレイドに大きく劣ります。私達にも言えることですが、巨大生物の真正面に立つ事態は極力避けねばなりません」
「ま、あのペラペラのアーマーじゃ酸は凌げないわな」
「彼女が深追いして包囲されてしまう前に、私達も敵の数を減らさなくてはならないでしょう。SDL2の方々には、もう少しだけ鬼ごっこに協力して頂きます」
「おーおー、俺の仲間をいいように使ってくれるねぇ。そこまでしといて仲間を死なせたりしたら、承知しねぇぞ?」
「心配いりませんよ。そのために、私が来たのですから」
「……へ、言うね」
聴く者を安心させる穏やかな声色で、リュウジは優しげにアーマンドを諭す。そんな彼に悪態をつきつつも、アーマンドのため息には安堵の色が滲んでいた。
感じ始めているのだ。この男の言葉なら、信じられるかも知れないと。
(……妙だな。やけに攻撃的に動いているように見える。そんなに血の気が多いタイプには見えなかったが……)
一方。フィリダの怒涛の攻勢に、リュウジは心のどこかで違和感を覚えていた。
「……ん? おい、1匹建物の隙間に逃げたぜ!」
――それから、僅か数分後。ほとんどの巨大生物を撃滅し、周囲の安全確認を始めようとした、矢先のことだった。
邸宅が密集して立ち並ぶ高級住宅街に、巨大甲殻虫が逃げ込んで行く瞬間を、走行中にアーマンドが目撃したのだ。その報告を受け、近くにいたフィリダが真っ先に動き出す。
「何ですって!? 了解、直ちに排除に向かうわ!」
「待ってください、エイリング隊員! 先程、レイピアを連続使用したばかりでしょう!? エネルギーの回復を待って――!」
戦闘中でも彼女の行動を正確に把握していたリュウジは、このまま行かせるべきではないと制止する。だが、彼女はそれよりも早く住宅街の中へと向かってしまった。
(私が……私が1番、誰よりも……強くなければならない。誰よりも、頑張らなきゃいけないのよ。彼に、アスカ隊員に甘えて、自分の責任を押し付けるなんて、絶対に許されない! だから……私がやらなきゃっ!)
――その責任感ゆえの焦りが、彼女の注意力を削いでいたせいか。
「なっ……!?」
出会い頭に角から飛び出してきた巨大甲殻虫が、フィリダを頭上から食らいつこうと猛襲する。それに彼女が声を上げるよりも早く、黒い牙が彼
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