第6話 うぬぼれも才能
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スを追った。
(彼は、自惚れてなんかいない。きっと、今も昔も。自分に出来るやり方で、皆を守るために戦っているだけなんだわ)
バイザーに隠された彼女の眼差しが――ゴリアスを撃ち続けるリュウジに注がれる。その瞳は……微かに、熱を帯びているようだった。
(だけど、彼のやり方は人から見れば非常識極まりなくて……理解出来る人なんて、殆どいなかった。「伝説の男」の真似をしようとしてる、無謀な人としか思われなかった。だから――「うぬぼれ銃士」と言われ続けてきたんだ)
強張り続けていた少女の頬が、僅かに緩む。――ようやく、はっきりしたからだ。
(彼はきっと――私達新兵を、平和が来るまで守るために……!)
自分達のために、今この瞬間も戦い続けている彼は、絶対に腰抜けなどではないのだと。
(でも……それなら。彼ほどの人が届かない「伝説の男」は、一体なんだというの……?)
「伝説の男」を真似しているようでも、実績は遠く及ばない。それが「うぬぼれ銃士」という名の所以であると、コリーンから聞いたことがあった。
ならば、「伝説の男」は……どれほど人間離れしているというのか。その超人を投入してなお、インベーダーを相手に苦戦を強いられている極東支部は、どれほどの激戦区だというのか。
リュウジ達がいる世界と、このロンドンとの差を――彼の戦いぶりから、フィリダは垣間見ていた。
(もしかしたら……あの人なら……)
その強さと、子供達を惹きつけていた優しさ。それを思い返した彼女はふと、あることを考えた。
自分の蛮勇に同期を巻き込み、疫病神の汚名を背負った自分を、救ってくれるような――自分を「独り」から解き放ってくれる人。
許されないと知りつつ、それでも心の奥底で求め続けた、理想の男性。
(……ダメよ、ダメ! 何を考えてるのよフィリダ・エイリング! あなたは、そんな人を望める身分じゃないでしょう!?)
その願望を自分の「弱さ」と見做し、フィリダは雑念を振り払うべく己を責め立てる。それでもしつこく脳裏にまとわりつく甘い考えを捨てるため、彼女はバーニアを急加速し、リュウジ達の元へ向かった。
「……待たせたわ! フィリダ・エイリング、合流します!」
今は余計なことなど考えず、この戦いに集中しなくてはならない。自分達を助けてくれた彼に、報いるために。
ギガンテスの真横に、抵抗飛行で並んだフィリダとリュウジが、視線を交わす。
「――お待ちしておりました、エイリング隊員! ゴリアスの火力では、直撃でも仕留めきれない可能性があります。息がある巨大生物を、確実に排除してください!」
「了解ッ!」
空中にいるまま敬礼を送ると、彼女は一際高く上昇し――巨大生物に向かい、急降下を仕掛け
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