第6話 うぬぼれも才能
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なことなど何もない、と言わんばかりの――日常と変わりないその面持ちに、アーマンドは観念したようにため息をつく。
「……ったく。どっからその自信が沸くんだ、って言いたいところなんだがな……」
そして諦めたような表情で運転席に戻り――ギガンテスを起動させた。けたたましいエンジン音を上げて猛進する蒼い戦車が、黒い暴威の群れを追う。
「な、何を考えてるのよ、アスカ隊員!」
酸を凌ぐ盾となっていた建物の影から、戦況を見守っていたフィリダは――砲台を破壊されたまま動き出したギガンテスを見遣り、驚愕する。
1人の陸戦兵が、走行中のギガンテスの上でゴリアスを構えていたのだから――当然だろう。常識で考えれば間違いなく発射の反動で振り落とされるし、足場も敵も動き回っている状況で当てられるはずがない。
いくら彼が、前大戦から戦い続けている歴戦の猛者だとしても、無謀であるとしか思えない。自惚れているにも、程が有る。
――彼が、寸分狂わぬ精度で巨大生物を砲撃して見せるまで、フィリダはそう思い続けていた。
「そん、な」
アーマンドはSDL2を狙う巨大生物を追跡するため、最短ルートである瓦礫の上を走行している。下手をすると車体が転倒しかねない危険な経路だが、運転技術に秀でた彼の手腕により事なきを得ている。
だが、それでも不安定に車体が揺れていることには変わりない。その上に乗ろうものなら、確実に振り落とされてしまうはず。
――はずなのに。極東から来た男は、砲身があった部分を両足で挟んで体を固定し、ゴリアスを撃ち続けていた。
決して撃ち漏らすことなく、巨大生物を次々と仕留めながら。
(す……すごい。すご、過ぎる)
あの激しく揺れる車上にいながら、両足の力だけで上体とゴリアスを支え、射撃の反動にも耐えている。しかも、あれほど不安定な場所から撃っているのに、1匹も外していない。
どう考えても。誰から見ても。人間業ではない。サイボーグか何かではないのか、とすら疑ってしまうほどの展開が、少女の前で繰り広げられていたのだ。
(でも、彼は……間違いなく人間よ。サイボーグに、あんな顔は……出来ない)
だが、フィリダは彼が人外であると見做し、拒絶するようなことはしなかった。
戦うためだけに存在している機械のような男に、無垢な子供が寄り付くはずがない。朗らかな笑顔で、触れ合うことなどできない。
リュウジ・アスカは、紛れもなく血の通った人間である。人としての彼と、戦士としての彼の両方を知るフィリダは、そう断じていた。
(――そうか。そうだったんだ)
そして……彼女の行動を縛り続けていた緊急チャージの時間が、ようやく終わる。
刹那。彼女は弾かれるように飛び上がり、ギガンテ
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