第5話 エアレイドの意地
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にも限界があるわな。あと1人くらい、人手がありゃあマシだったかも知れねぇが……ったく、あの腰抜けの『うぬぼれ銃士』が」
「……」
アーマンドの愚痴に対し、彼の仲間達は同意するように深く頷く。だが、フィリダだけは違っていた。
知っているからだ。彼が「まだ」、ここに来ていない理由を。
「……とにかく、時間稼ぎは俺達だけでもやるしかねぇさ。俺達の誰が死んでも悲しむ奴はいねぇだろうが……フィリダはそうでもねぇだろ」
「残された人間のモチベに関わるからな。なにせエイリングは名門貴族にして、ロンドン市民のアイドルだ。……世の中不公平だねぇ。同じEDF隊員でも、死んでいい奴と死んじゃいけねぇ奴がいるんだからよ」
「ハッ、違いねえ」
その理由を知らないまま、アーマンド達は次々とSDL2に乗り込んで行く。その姿を前に我に返ったフィリダは、慌てて引き留めた。
「ま、待って! 死んでいい隊員なんて、ロンドン基地には一人もいないわ!」
「ケッ、この期に及んで説教かよ。今すぐ出て行って奴らの狙いを分散させなきゃ、俺達全員が間違いなくお陀仏なんだぜ。全滅と1人生き残るのとどっちがマシかなんて、お利口さんなお前なら考えるまでもねーだろが」
「で、でもっ!」
「あーうるせぇうるせぇ。説教の続きなら、あの世で聞いてやる。ホラ、行くぜお前ら!」
「あいよ!」
「ダメ! アーマンドッ!」
フィリダの制止を聞き入れることなく、アーマンド達は捨て身の陽動作戦へと乗り出して行く。埃を巻き上げ、戦場へと飛び出して行くSDL2の群れに――少女は、ただ手を伸ばすことしかできなかった。
「オラオラッ! 当ててみやがれクソ野郎共がッ!」
アーマンドの挑発的な叫びに応じるかのように、彼らの頭上に酸の雨が降り注ぐ。その落下点の隙間を縫うように、彼らはSDL2を走らせていった。
ある時は体が地面に触れるギリギリまで車体を傾け、またある時は乗ってる本人が振り落とされそうなほどに飛び跳ねる。そんな際どい挙動を、彼らは絶えず繰り返して酸の猛攻をかわし続けていた。
「――舐めんなよッ! 俺達は入隊前まで、暴走族で慣らしてたんだ。そう簡単に当たると思ってんじゃねぇ!」
その難しい運転をこなしながら、恫喝するようにアーマンドは再び叫ぶ。だが、口先で威勢良く振舞ってはいても――状況は刻一刻と、彼らを追い詰めている。
巨大甲殻虫の群れは、徐々にアーマンド達のいる地点に近づいていた。それは酸の射程が短くなることを意味しており――精度も、比例して高まって行く。
今は辛うじて全弾回避しているが、じきに追い詰められてしまうだろう。
(早く、早く……終わって……!)
緊急チャージは、ようやく半分以上に達したところだった。まだ、飛行ユニ
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