第4話 ペイルウイングの危機
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しかないのだ。
無論、やすやすと接近を許す相手ではない。激しく酸の弾幕を張り、上空から襲来する敵を排除するべく巨大甲殻虫達も応戦する。
「これが、私達の――お母様の痛みよッ!」
だが、屈するわけにはいかない。フィリダはその想いのまま、腰に忍ばせていた「プラズマグレネード」を巨大甲殻虫達の頭上に落としていく。
刹那――青白い電光が迸り、巨大甲殻虫の群れを纏めて吹き飛ばして行った。直撃した個体はバラバラに砕け散り、そうでない個体も、余波を受けて空中に舞い上げられて行く。
「切り裂けぇえぇッ!」
さらに、フィリダは生きたまま上空に向かって飛んできた巨大甲殻虫を――レイピアで八つ裂きにしていく。1匹たりとも絶対に逃がさないという彼女の執念が、巨大生物を次々と屠っていた。
――しかし。
「あっ……!?」
若さゆえの高ぶりが、冷静さを奪っていたのか。いつしか彼女は全てのエネルギーを使い果たし――緊急チャージ状態に陥っていた。
「しまった……!」
上空に長時間滞空しながら、プラズマグレネードとレイピアを矢継ぎ早に放てば、エネルギーの消耗が加速するのは火を見るよりも明らか。本来ならばプラズマグレネードの一撃が決まった瞬間、離れた場所に着地してエネルギーの回復を待ち、生き延びた個体を各個撃破していくべきだった。
緊急チャージ状態になっては、飛ぶこともエネルギー兵器を使うこともできない。力無く真下に着地したフィリダは、巨大甲殻虫の群れに囲まれる格好となってしまった。
(くっ……迂闊だった! でも、今の攻撃でかなり奴らの数は削れたし、包囲されてると言っても、まだ次の奴らとはかなりの距離がある。酸を吐き出すタイプが少なければ、この状態でもある程度はかわして――)
そして、そんな彼女の希望的観測を打ち破るように。雨あられと、酸が頭上から迫ってくる。
(――そ、そんなっ!)
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