第3話 超人になろうとした人間
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スカ隊員、パトロールに戻ります。……じゃ、みなさん。またお会いしましょうね」
「えー、アスカもう行くのかよー」
「ふふ、また休日に遊びに来ますよ。みなさん、帰り道には気をつけてくださいね。お父さんやお母さんの言うことも、ちゃんと聞くのですよ?」
「はーい!」
名残惜しむ子供達の頭を撫でながら、青年は穏やかな笑みを浮かべるとヘルメットを被り、踵を返す。
(子供の感性は、意外と鋭い。良い大人と悪い大人を、私達よりも正確に見分ける時もある。……この子達皆から、好かれている彼はきっと……)
会って間もないはずの彼との別れを名残惜しむ子供達を見遣り、フィリダは改めてリュウジという青年の人柄を垣間見るのだった。
(そういえば。「伝説の男」も「うぬぼれ銃士」も、極東支部の出身だったとコリーンが言っていたけど……まさか、ね。とてもじゃないけど、そんな人には見えないし……)
フィリダは、その背を見送ってから、パトロールに戻ろうとするが――突如、その足を止めてしまった。
「よぉ、フィリダ。この街の英雄ともあろうお方が、こんなところで道草かい?」
「アーマンド……!」
仲間を引き連れてパトロールに当たっていたアーマンド達が、通りがかってきたためだ。
「あ、あいつら……」
子供達は彼らを前に、各々の反応を示す。怯える少女もいれば、敵意を剥き出しにする少年もいた。
「け、世知辛いもんだ。被害者は俺達だってのによ」
「全くだぜ。別に俺達はァ、レディファーストの紳士じゃ……ねーってのッ!」
そんな子供達の反応を見遣り、アーマンドの連れの1人が、苛立ちをぶつけるようにゴミ箱を蹴り倒す。エアレイドの横暴を前に、子供達や道に居合わせた市民の何人かが短く悲鳴を上げた。
「ちょっと……あなた達!」
さすがに、それを見過ごすわけにはいかない。そう言わんばかりに、フィリダは眉を吊り上げて彼らに詰め寄ろうとした。
その時。
「あー、もう。ダメですよ、こんなにゴミを散らかしちゃあ」
「あ、あなた!?」
立ち去ろうとしていたはずのリュウジが、戻ってきてゴミを拾い始めていた。その行動に、フィリダは思わず目を丸くする。
そんな彼に、アーマンド達も一瞬だけ戸惑ったような表情を浮かべたが――程なくして、嫌らしく口元を吊り上げた。
「なんだ、新入りも一緒なんじゃねえか。なぁ、極東支部から逃げ出してきた『うぬぼれ銃士』さんよ」
「えっ……『うぬぼれ銃士』!?」
「どうせ、あんたもトーキョー戦線が怖くて尻尾巻いたクチなんだろ。昔がどうだったかなんて知らねぇが、それで『伝説の男』を気取ろうってんだから、正真正銘の『うぬぼれ』野郎だよなぁ。えぇ?」
アーマンドの嘲るような言葉に対し、
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