第2話 翼の姫君
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ィリダが憤怒の形相で踏み込んで行く。
「……どういうつもりよ」
「は? なんの話だ?」
バイザーの下から覗いている、艶のある桜色の唇を噛み締めて。フィリダは、声を震わせ彼らを糾弾した。
彼女はその怒りを表現するかのように、ヘルメットを脱ぎ去る。セミロングの美しいブロンドや紅い瞳、透き通るような白い肌が露わとなった。
「どういうつもり、と聞いてるのよ。あの娘の上に足場が落ちてきた時、あなた達も近くにいたはずでしょう! あなた達のうちの誰か一人でも、咄嗟に動いていれば……私よりも早く、あの娘を助けられたはずよ!」
「……そうは言うがよ、お嬢様。俺達はあんた達ペイルウイング隊とは違って、機動力より火力が本領なんだ。こういう時はあんたの方が適役だろ」
「所属部隊がどうこうって問題じゃないでしょう! 例えどこの部隊の所属だろうと、私達の目的は何一つ変わらない!」
「空と陸、共に力を合わせて人類を守る――って、いつものご高説かぁ? 勘弁してくれよ、いい加減耳にタコが出来ちまう」
「アーマンドッ!」
だが、エアレイド達はまるで聞く耳を持たない。アーマンドと呼ばれる彼らのリーダー格も、他の仲間達と共に茶化すように笑うばかりだった。緑のヘルメットに淡いブラウンの髪や碧い瞳を隠した美男子ではあるが、その笑い声には今一つ品がない。
「あーあー、聞こえない聞こえない。お前、前々から気張り過ぎな方だったけど、数ヶ月前の迎撃戦からは一層酷くなってんな。確か、あの戦闘でオカンが死んだんだっけ?」
「……ッ!」
その瞬間、フィリダは一気に噴き出す激情のままに、アーマンドの胸ぐらを掴んでいた。
「お? 鉄拳制裁か? かっこいいねぇ、俺達の代表様は」
「あんたはすげーよなー、ホント。なまじ正規隊員よりデキたばっかりに、エアレイドの候補生でしかなかった俺達まで巻き添えで上に抜粋させちゃったんだから」
「今頃は生き残るための訓練をしてるはずだったのに、全く代表様は手厳しいねぇ?」
「……く……!」
アーマンドは胸ぐらを掴まれても一切動じず、さらに煽るような言葉を並べたてる。他の仲間達も、フィリダを皮肉るような野次を飛ばしていた。
――彼らは全員、元々はフィリダと同期の候補生であり、エアレイド部隊の正規隊員として承認されるための訓練の途中だったのだ。
しかし、数ヶ月前に起きた巨大生物との戦闘による損耗を受け、急遽戦力補充のために訓練課程を前倒しにすることとなり、今に至っている。
彼らがそのような道を辿るきっかけを作ったのも、当時の混沌とした戦場の中で、候補生の身でありながら高い戦果を上げていたフィリダなのだ。彼女が打ち立てた功績は世論の中に、「同期として、名門貴族の活躍に続くべし」という風潮を生んで
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