Side Story
少女怪盗と仮面の神父 48
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なーんで気付かなかったんだろ。いや、剣士の手を知ってるワケじゃないし、剣たこ? って言うの? 普通の人はそうそう見ないよね。貴族の護衛兵は大体手袋してたし。うん。私が特別間抜けだったというオチではない。多分。」
「ミートリッテ?」
「ねぇ、ハウィス。「ヴェラーナ」の意味、知ってるよね? 「ウィリアー」も。あれ、何処の言葉なの?」
「!?」
突然切り出したマーシャル絡みの単語に動揺したのか、一瞬見開いた目が ぐっ と寄った眉根に引き摺られて細くなる。
「……ヴェラーナは「姉」、ウィリアーは「妹」。西の大陸……桃の原産地で使われている言葉よ」
「やっぱり! じゃあ、「ヴェッラティーナ」は「姪」で合ってる? 「バーナベアレ・フィドゥ・ミア・ラ・ヴェッラティーナ」は?」
「ちょ、ちょっと待って! 私だって、他国の言語に詳しいわけじゃないのよ!? えーと……ヴェッラティーナは合ってるけど、バーナベアレ? は……ああ、多分「vaunaviell-earlei」……「再会」ね。フィドゥは接続詞? のような物で、ミアは「私の」、ラは女性を示す言葉の最初に付ける物だから……って………ミートリッテ……? これ、いつ・何処で、聴いたの?」
「ハウィスが仕事を休んで家の片付けをしてる時、中央広場で。」
「ッ!! ……あ、っっの子はぁああ……っ!」
天井を見上げ、首を捻り、低く唸りながら導き出した答えに、義母の声が一音下がった。ついでに室温も急降下したようだ。相当怒らせてしまったらしい。
当然か。彼女は……マーシャルは、ハウィスの言い付けを破ってミートリッテに接触しただけでなく、事と次第によってはエルーラン王子の計画を破綻させる重大な一言を放っていたのだから。
『また会いましょうね、私の可愛い姪っ子さん!』
エルーラン王子とハウィスが交わした賭け……「シャムロックが義賊の罪に気付かず指輪を盗み出し、偽海賊の手元に届けてしまうかどうか」は、商人殺しに紛れ込んだ義賊の被害者をアルスエルナ国内に引き留める為の罠だった。
つまり、ミートリッテに割り振られていた本来の役目は、ネアウィック村に侵入した連中がシャムロック又はブルーローズを嗅ぎ分けるまで、他の村民とは違う動きを執り続ける事。
実際は一日目にしていきなり目を付けられていたし、結果的にはアルフィンのほうが重要だったので問題は無いのだが……もしも、そうと判明する前にミートリッテが罪悪感で引き籠ってしまったら?
囮もへったくれもない。
ブルーローズは騎士として普通に仕事を熟し、獲物探しで躍起になったイオーネ達は、アルフィンの存在を認識するまで堂々と村を荒らし続けるか、罠に気付いて早々と離脱するかのどちらかだ。どっちにしても、その時点で拘束役のエル
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