Side Story
少女怪盗と仮面の神父 48
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取れる場合がある……ですって。ただ、国境の危うさを考慮した結果、「特定人材」の「小規模」軍事訓練場に指定するまでが許容範囲内ギリギリだったそうよ」
「国際標準規定の国境警備隊規模より大きくするな! って話?」
「ええ。ちなみに、村の人達が知ってるのは、「ネアウィック村周辺が騎士達の軍事訓練場に指定されている事」と「村近辺の何処かに騎士達の隠し拠点が在る事」、「私達十四人の移民団が、元は国内で自警団に類する仕事をしていた事」と「エルーラン王子に実力を買われて騎士職を宛がわれた事」。それと「私が騎士達と自警団に剣術を教える立場を与えられた事」。バーデルが知ってるのは、「現リアメルティ領主が第二王子であり、前領主を代理に据えている事」と「ネアウィック村の周辺が王族付き騎士団の小隊と騎士候補生達の訓練場になっている事」、「王族付き騎士団員が自警団に少数混ざっている事」と「私が騎士達の剣術指南役を務めている事」だけ。どちらも、私達移民団が元義賊だったり、私がリアメルティ領主の後継者だったり、第三王子と第二・第三騎士団の小隊隊員が自警団以外でも村民に紛れ込んで生活している……とは、夢にも思ってなかったわ。アルスエルナへの入国許可と引き換えで貴女を国外へ逃がした時も、私とベルヘンス卿は教官役騎士隊長、貴女は私の養女で、暗殺者に狙われているらしいアリア信仰の関係者、としか説明してないし」
「真実は殆ど話してない!?」
「重要なのは通した話が真か否かであって、その他の部分はバレなきゃ良し! だ、そうです。」
「暴論にも程がある!!」
自分に対しても、誰にも何も悟られなきゃ良いだけの至極簡単な話だと気軽に言ってたが、まさかあれ、本気じゃなかろうな。シャムロックが言えた義理じゃないが、バレなきゃ平気! なんて考え方をしてたら、いつか国単位で痛い目を見るぞ! と、急激な悪寒に襲われて震える体を抱えつつ、頭を数回横に振り、溜め息を一つ零す。
でもこれで、みんながアルフィンを探してる間ですら、言葉や態度に何一つ出さなかった理由が分かった。
(そりゃあ「お黙り!」なんて勅令・上命を喰らってたら、何処に誰が潜んでるか判んない状況下で「助けて騎士様!」とは口が裂けても言えないよねぇ……。その時は助けられたとしても、後々情報漏洩と勅令違反と命令無視の罪で処刑されちゃうもん。それに……多分、私の体を心配してくれてた面もあるんだ。だからこそ、アルフィンと私の確保を一層急いでた)
ハウィスが負傷し、ミートリッテの心臓が止まってしまったあの一幕は、村の人達にも少なくない衝撃を与えただろう。
役職上、騎士と剣は切り離せない関係だ。万が一帰村したミートリッテと任務遂行中の騎士が出会して、また怪我人を見てしまったら。そう考えてもおかしくはない。
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