暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 48
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リッテもベッドの上で背筋を伸ばす。降りるべきかとも思ったが、エルーラン王子が鷹揚に頷いたので、とりあえずは座ったままで良いらしい。
 「王都へ行く前に大仕事を二つ熟してもらうぞ、ミートリッテ」
 「大仕事、ですか?」
 「これが何か、知ってるか」
 するすると優雅な足取りでベッド横まで移動して来た王子が、袋状になっている袖から何かを取り出してミートリッテの眼前に突き付ける。
 咄嗟に差し出した両手のひらの上に転がる、親指の爪ほどの大きさで丸っこい、鮮やかな緑色のそれは……

 「…………コーヒーの実?」

 『アルスエルナでは自生していないとされる植物』の『生果』だった。


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