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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 48
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りしてるワケじゃない。私が諦めずに手を伸ばし続けていれば、自分もと思ってくれる人が少しずつでも増えるかも知れない。そうなれば、助かる命もぐんと増える。同じ時間を、よりたくさんの人と一緒に生きていけるの。具体的な方法は実務に携わってみないと何とも言えない。でも、いつかきっと、それが自然な事だと思える世界へ導いてみせる。ハウィス達の答えを、私が世界中で体現してあげる!」
 戸惑うハウィスの両手を自分の両手で包み、俯いた額にこつんと当てる。
 (……イオーネが聴いてたら、綺麗事だ寝言だふざけるなって、嘲笑うか喚くかするんだろうな。実際、即効性に期待できる答えじゃないし。現時点で案も策も無いのなら理想論と何が違うのか? って話だよね。うん。其処は否定できない)
 獰猛な目付きで襲い掛かって来る女性の姿が目に見えるようで、首筋がちょっとだけひんやりした。
 しかし、忘れてもらっては困る。
 ミートリッテとハウィス、エルーラン王子とブルーローズは、元々赤の他人だった。偶然と必然が複雑に絡み合って現在の形に落ち着いただけ。
 なら、ハウィスの答えは絶対実現不可能な夢物語でも、机上の空論でもない。どんなに果てしない道程でも、叶えようと努力し続ければ手が届く「現実」だ。問題は、その距離を如何にして短縮させるか。
 やはり、まずは身近な所から始めるしかあるまい。
 (そうだね、イオーネ。貴女の言葉も正しい。罪悪感で膝を抱えていたって誰も何も得られないし、何処へも進めない。『得られるモノが一つも無い行為に執着しても、時間の無駄。無意味』だ。私達が閉ざしてしまった道だからこそ、私達自身の手で切り拓くしかない。これはその第一歩。何処の誰であっても、私達の(げんじつ)を否定させはしない)

 あなたを、傍観者(おいてきぼり)には、しない。
 決して、させない。
 
 「その決意自体は、王族としても非常にありがたいんだけどなー」
 「「っ!?」」
 突然聞こえた男声に驚き、母子揃って振り向けば
 「おとう……じゃない、エルーラン、殿下!?」
 いつの間にか開いていた扉の一歩外側に、全身真っ白な衣で覆われている金髪の青年が両腕を組んで立っていた。
 王族の正装なのか何なのか、深夜の大森林で見た服装より金物の装飾品が多く室内でも陽光の反射が眩しい上に、手の甲まで隠すゆったりとした袖や床を滑る長いマントがとても動き辛そうだ。民家の内装と格好が凄まじく不釣り合いで、目に入った瞬間から違和感が過活動を起こしている。
 大森林の時と同じノリでうっかりお父様と言いかけたものの、彼とそっくりな装いの男性二人がエルーラン王子の後ろに立っていると気付き、今は駄目だと言葉を改めた。
 中腰姿勢から慌てて立ち上がり、椅子の側で片膝を突いて礼を正すハウィスを横目に、ミート
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