85舞の悪夢3
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が現れ、19年前の儀式が再現されているような錯覚を覚えた。
「舞、もしかして丘に行ったの? その人、丘から降りて来た人なの?」
元は普通の人間でも、祐一の父と触れ合い、縁の出来た母にも、祐一の特別な力が分かった。
しかしその結末は悲しい別れ、一月と経たない間に今生の別れがやって来る。 自分の娘には、あの悲しい別れを経験させたくは無かった。
「…違う、祐一とはあの麦畑、今の学校のある場所で会ったの」
「そう… でも?」
「…10年前、化け物って言われてた私とずっと遊んでくれた… あの夜の麦畑で、月が昇って沈むまで、私と祐一の分身は毎日遊んだの」
そこまで聞いて、やはり目の前の少年が常人ではないと思い知らされる。
「どうしてその子にも、そんな力が…」
「祐一は私の弟だから…」
「えっ?」
舞の心の声は僅かながら母にも届いた。「自分と祐一の父親は同じ、丘から降りて来た妖狐」だと。
「…私のお父さん、お母さんの好きな人はまだ生きてる。 でも、祐一のお母さんに記憶は消されてるから何も知らない… 覚えてない…」
「い、今… 何て言ったの?」
突然信じ難い話を切り出され驚く母。 自分の運命の人は、予感していた通りどこかで生きている。
それは多分、あの時現れた妖狐の姉妹の一人、自分と抱き合っていた時、怒り狂った妖狐に囚われているのだと思えた。
「…繋がってる間に祐一から聞こえて来た。 お母さんと別れた後、生き残るにはそうするしか無かったって… 今日、祐一はそれを教えに来てくれたの」
「じゃあ、その子はやっぱり、舞の弟なの…」
「うん、私ができた後に産まれた。 最初会った時は、祐一の方が年上だったのに…? 絆があったら、時間はあんまり関係無いみたい」
母親の問い掛けとは次元の違う答えをする舞。 母が驚いているのは、舞の父親が生きていた事でもあるが、自分の娘は血の繋がった弟と平然と交わって、嬉しそうにしている所にあった。
「駄目なのよっ、姉弟で結婚はできないのよっ、それに子供が出来たら大変な事になるんだよっ!」
どう見ても避妊などしていない娘を見て説教するが、舞は「気絶するまで犯した」弟の顔を撫でながら、何年も見せなかった嬉しそうな表情をして、ねっとりと肌を合わせていた。
「…違う、私達は人間じゃない、化け物なの… それに結婚なんてどうでも良い… 子供が産まれるのならそれで十分」
「だから、それが駄目なのよっ」
獣でも、血が濃過ぎた場合、遺伝的ダメージが重複し、障害のある子供が出来てしまう。 胎内で同じウィルスに感染すれば、母体の細胞壁を開ける時に使った「鍵」が子供にも使えるので、発育が正常に行われず、体に欠損が出来てしまう。
「…大丈夫、私達は人の形を真似てるだけ… 特に祐一は人間と同じ所なんて無い、私のお父
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