85舞の悪夢3
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
合って眠る二人。 もう母が帰って来てもおかしくないほどの時間が過ぎていたが、催眠術にかかったように目は覚めなかった。
そこで、油断し切った二人の枕元に、天使の人形が現れた。
(まだ許さないよ。 これからもっと傷付けてあげるからね)
こうする事は罰でもあり、天使の人形を構成している一人、舞の祐一の願いでもあった。 思い人と結ばれた後で奪い去り、さらなる地獄に叩き落そうとも… 以前、置き去りにしてしまった少女を抱き締め、これからは暖かく見守ってやりたいとも思っていた。
(さあっ、思い出せっ!)
笑顔のまま、舞の祐一が持つ恐ろしい記憶を送り込む天使の人形。
「たすけてっ、たすけてっ」
森を抜け、力の有る者を探す祐一。 真っ直ぐ道を駆けて行った他の祐一と違い、舞の祐一だけは捻れた道に送り込まれ、3年前の癒しの力を持つ舞の所に辿り着いた。
「たすけてっ、ともだちがけがしたのっ!」
その後、「誰か」を助けて貰い、感謝の気持ちと共に、時を越えて舞に会いに行った祐一の分身。
思い出の麦畑で駆け回り、ウサギの耳を付けた少女を追い掛けた思い出。 休みの終りが来た時、「もうあえないかもしれない」と言って、置き去りにしてしまった記憶までが戻された。
「たすけてっ、たすけてっ」
「どうしたの? 祐一、祐一っ!」
うなされて泣いている祐一を起こすと、抱き合っている弟が昔の自分を思い出したのに気付いた。
「まいちゃん…」
「祐一…」
「あのときはありがとう」
「うんっ、うんっ…」
祐一の心の中に、麦畑の風景や幼い自分、ウサギの耳があるのを見て、暖かい涙を流す舞。
その中に、木から落ちて血まみれになっている少女はいなかったが、かえって都合が良いと思ってしまう舞だった。
(また、あゆちゃんがいない方が良いって思うんだね。 そう考え続ける限り、僕は君を許さないよ)
「ただいま… 舞っ、何してるのっ?」
一つ布団に入って、裸で抱き合って寝ている娘と男友達を見れば、何をしていたか一目瞭然だった。 しかも娘の方は泣いている。
「…お母さん、お帰りなさい」
そこで、眠ったままの男友達の「上」に乗っていた娘が、別人のように嬉しそうに笑ったので少し安心する。
「そうだったの… 邪魔しちゃったね」
舞の全ての行動に対し、制限を加えようとしない母。 もしかすると、蘇らせられた時、既に自由を奪われ、無理に生かされ続けている存在なのかも知れない。
「…もう終わったから大丈夫」
体を起こして身支度をしようとしたが、まだ抱き合っていたくなり、また布団を被って祐一に乗り直す。
「…しばらくこうしてても良い?」
「え? ええ…」
母もその状態を見て、ふしだらな行為とは思えなかった。 自分と同じように、娘にも運命の人
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ