83舞の悪夢
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んのお姉さんだったんですね〜、佐祐理びっくりしました〜」
「「え?」」
本人同士は小声で会話しているつもりだったが、心の声は出しっぱなしだったので、佐祐理には全部聞こえていた。
放課後の教室
「ゆうくんっ! 教室で川澄さんに絶叫告白されて、OKしたら大泣きされた上、抱き付かれたまま気絶されて、保健室までゆうくんが「お姫様抱っこ」で連れて行っったって本当っ?」
栞の時のように、思いっきり勘違いされた噂が先行し、見事に曲解されたまま「みーちゃん」に話が伝わっていた。
さらに今回は「妖狐関連の何か」では無く、すっかり明るくなった美汐にできた友達から、「女の噂話」がダイレクトに宅配され、冷静さも失っていた美汐が怒鳴り込んで来た。
「全然違うだろ… どうやったらアレがそんな噂になるんだ? 伝言ゲームの方がまだましだぞ」
「だって、みんなそう言ってるもんっ!」
可能な限りスキャンダラスな方向に話が変えられ、現在の恋人?に、彼氏の不適切な関係が伝わるように手配されたらしい。
「本人に聞かせる前に言うのも何だが、俺とお前の仲だから教えておこう。 実は舞の母親は、丘に行って俺の親父を呼んだ張本人だ、ここまで言えば分かるな?」
「分かんないよっ!」
みーちゃんは冷静さを失って、いつものようなオバンくさ… もとい、明晰な頭脳が働かなかった。
「だから舞は俺の姉さんなんだよっ」
「そんなの嘘っ!」
もう涙でヌレヌレになって、「だだっ子モード」に入っているみーちゃん。もう「路チュー」か「お注射」する以外、機嫌を直す方法は無かった。
「前にも言っただろ、俺のおふくろは丘にいた頃から親父に憧れててな…」
そこで説明している祐一を遮り、舞が一歩前に出て言葉を発した。
『…貴方、誰? 祐一から離れて』
「うっ……」
いきなり心の声全開で命令されるが、何とか抵抗を試みる美汐。
「わ… 私は2年の天野美汐… ゆうくんの恋人で婚約者…」
名前や身分は明かしてしまったが、何とか腕は離さないで済んだ。
『…違う、10年前、祐一と最初に約束したのは私… だから離れてっ、これから祐一は私と一緒に帰ってお母さんと会うの』
瞬時に美汐と祐一の縁が7年程度と見抜き、因縁は自分の方が深いと主張する。
「くっ… いやっ!」
同じ命令を2度繰り返され、心とは裏腹に腕を離して、祐一から遠ざかってしまう美汐。 やはりハーフで、天賦の才能もある舞には適わないらしい。
「悪いな、今日は叔母さんと会って、親父の事情も説明して来るよ」
「だめっ!」
舞の目の色が尋常では無いのに気付き、ゆうくんを行かせまいと頑張る美汐。 しかし祐一はマヌケにも、自分から罠に入って行こうとしていた。
『ゆうくんっ! 行っちゃだめっ!』
『…黙って』
「
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