83舞の悪夢
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「ひどいよっ」
術が通じない名雪ちゃんだけは、また一人増えた祐一の恋人を見て、違う意味の涙を流していた。
保健室
「ゆういちくんっ」
「はぁっ? くん?」
保健室で目覚めた舞は、ニコニコ笑いながら、祐一に抱き付いて来た。
「やくそく、おぼえててくれたんだねっ」
「おいっ、人が見てるっ、佐祐理さんもいるぞっ」
そんな二人を微笑ましく見ながら、ビデオカメラに収めて行く佐祐理。
その時の舞の声は、同じ田村ゆかりの声でも、普段通りの、おねがいティーチャーの苺さんと違い、エンジェル隊のランファさんぐらいの差があった。
「ほら、このへんがちょうど、ふたりであそんだところだよっ、むぎばたけにねころんで、そらをみあげたところっ」
そう言って祐一を抱いたまま、ベッドに倒れ込む舞。
「何してるんだ、離せっ」
「や〜だよ〜〜」
もちろん、こんな所を美汐に見付かれば、何を仕出かすか分からない。さらに香里、栞に掛けた術まで解除されれば、地獄へ直行である。
「ねえねえっ、きょうはうちにきてっ、おかあさんもいるからっ」
何やら幼児退行してしまった舞は、香里や栞から取り戻した人格に切り替わって、「ななか6/17」ならぬ、「まい8/18」になっていた。 きっと、刃渡り90センチほどの「ドミカルバトン」で変身するらしい。
「舞のお母さん…」
「うんっ、とってもやさしいんだよっ」
先日、秋子に聞かされた昔話のヒロイン。祐一の父が愛し、命を捧げて病を癒そうとした相手。
美汐とお婆さんの言葉を借りれば「身も心も、魂まで呼び合う運命の人」
祐一も一度は会ってみたかった。 そして自分が舞の弟で、舞の母の運命の人は今も生きていると伝えたいと思った。
「名雪… 今日は遅くなるかも知れないから、秋子さんに言っといてくれよ」
「どうしてっ? いやだよっ」
また天野と言う後輩の時のように、翌朝帰って来た頃には恋人同士になっていたり、香里や栞でさえ操られたように大人しくなった、あの奇妙な状況を思い出す。
「ちょっと耳貸せよ」
「え?(ポッ)」
最近の名雪は、佐祐理や美汐並に祐一の心の声が聞こえるようになったので、仕方なく本当の事を教えようとする。
「舞は俺の親父の血縁、親戚なんだ」
「じゃあ従姉?」
名雪の目は、「従姉って結婚できるんでしょ」と言いたげに、自分と同レベル?のライバルの出現に警戒していた。
「この間、 秋子さんに教えてもらったんだけど、舞のお袋は俺の親父の昔の恋人、だから俺の姉さんなんだよ」
「ええっ!」
「秋子さんにも口止めされてるからな、内緒だぞ」
「う… うん」
祐一も、ここまで言ってしまえば名雪でも満足するだろうと思ったが、そこでいつも通り。
「そうだったんですか〜、舞って祐一さ
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