その十七「夏だ! 海だ! 水着だ!」
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る、ベランダにしがみついて、落ちそうになっているのを必死に耐えている、運動音痴の水仙寺。
「で、何しに来たんだ…よ?」
こいつらがエデンに侵入してきたことはこの際いい。とゆうより一々突っ込んでいたら俺の身体がもたん。
過労死するわっ!
「書店街のくじで〜当たっちゃったんだ〜、1泊2日の旅行けーん!!」
「「イエーイ」」
とハイタッチする。アホ子と小野。
ああ……そういえばお袋が今商店街でくじをやっているとかなんとか言ってたような、なかったようなー。
まさかこのアホに当たるとは、商店街の親父さん達も思ってなかっただろうな……ご愁傷様です。
「待ちなさい!」
「誰だッ!?」
アホ子、それ俺の台詞だろ、と一瞬思ったがよくよく考えればこの状況はおかしい。いや。アホ共がおかしいのは生まれつきだが、ここは俺の部屋であり地上から2階の位置に存在する。
アホ子達のようにベランダ伝いに侵入してきたのならわかる。本当は分かりたくないけどな! だがしかし今、ベランダは水仙寺が占領している…ってまだ下りられてなかったのか…。
それに声が聞こえて来たのは背後。本来の出入り口であるドアからだ。誰が、何処から、入って来たんだっ! 面倒事は勘弁してくれよ!
「高校生の男女が泊まりで海だなんてそんな風紀の乱れそうな事。
生徒会長である、私が同行しないかぎり許るさないわ!!」
ふんっと鼻息荒く、腕を組み仁王立ちしている高浜。…その後ろには
「どうも〜」
「お前か」
隠れているつもりか? ひょこり顔を覗かせ手を振る飯野の姿が。
ベランダ以外での侵入口だと、玄関しか思いつかない。だが玄関はアホ対策で厳重に厳重をかけてしっかり施錠したはず。中からは開けられないはずなのだが……と思考を巡らす俺に気が付いた飯野は人を小バカにしたような笑みで
「ピッキングで〜ちょちょいと〜ね」
鍵を開けている作業かそれは、ジェスチャーで何かやっている飯野。なんでこいつは捕まらないんだ……。
日本の警察、頑張ってくれ。じゃないと、俺の方が先に犯罪を犯してしまいそうだ。
「15時のおやつに、ポテトフライはどうですかっ、しーさん? おいしいですよ♪」
「ありがとう、美希。僕はベビースターを持ってきたよ」
「………」
ちゃぶ台付近でアホ達に紛れ、菓子交換しながらお茶を楽しむ女が二人。…うん、いつからいたお前ら?
招き入れた覚えも、お茶をだした覚えもないんだが……でも飲むのに使っているグラスは家だ。菓子を入れている皿も家のだ。
「…あっそっか」
女の二人のうち、一人は緑屋だと(数秒かかったが)すぐに分かった。二人が話している内容から察するに、緑屋の隣で「しーさん、しーさん」と呼んで慕ってい
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