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提督はBarにいる・外伝
応接室の応酬・1
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かし……!」

「私は『黙れ』と言ったんだぞ?言葉も理解出来ないような獣を部屋に置いておく気はない。出て行きたまえ」

 その冷徹な一言で兄ちゃんは悔しげに黙り込み、ソファに再び腰掛けた。しかしその眼は憤懣やる方無いと言いたげで、殺気をこちらに飛ばしてくる。……いや、上司?に怒られたのはお前がアホな所為だろうに。こっちに責任転嫁するんじゃねぇ。

「部下が失礼を致しました。深くお詫び申し上げます」

「いや、構わねぇよ……アンタの方は言葉が通じるようで安心した」

 謝罪への返答ついでに兄ちゃんの方を更に煽る。お前は言葉も通じない馬鹿だ、と暗に言われたらそりゃ頭に来るよなぁ?だって聞こえる位の大きな歯軋りしてるもの。よっぽど悔しいよなぁ?バカめ。

「……で?改めて用件を窺いましょうか?」

「先程こちらの者が申しました通り、我がアメリカが日本に譲渡する予定であった艦娘『サラトガ』の引き渡しをお願いしたいのです」

「ほぅ?だがサラトガを含め数名の米海軍の将校さん方は深海の連中に捕まっていた……つまりは捕虜だ。捕虜の身柄を引き渡すのに、相手の素性がハッキリしないのではねぇ?」

「つまりは私共の身分を疑っておられる……そういう事ですかな?」

「ま、有り体に言えばな」

 そりゃそうだろう。いきなり鎮守府にアポ無しで乗り込んで来て、『アメリカ大使館の職員だから、捕虜を引き渡せ。ただしアンタも後ろ暗い所があるだろうから、こっそり引き渡せ』なんて言われたら疑わない方が無理ってもんだろ。

「生憎と俺達も国からの依頼を受けて、あの島に閉じ込められていた住人を救助した。その中に米海軍の捕虜も混じってた……そういう種類の話だろ?これは。そんな相手をどこの馬の骨とも判らない相手に渡す訳にはいかねぇよ。信用にも関わるしな」

「依頼?それは日本政府からの依頼という事で宜しいかな?」

「いんや?ブルネイ政府……いや、国王直々の依頼でね。大淀!」

 応接室の外に控えていたであろう大淀に、預けておいた書類を持ってこさせる。さぁて、長丁場の詰め将棋の始まりだぜ?
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