応接室の応酬・1
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ち構えていたのは2人の男。一人は壮年の優男といった見た目で、細身。温厚そうな顔に眼鏡を掛けている。もう一人の方は厳つい見た目だ。俺ほどではないが、身長もあるだろう。俺は向かいのソファにどっかりと腰掛けて、断りもなく煙草に火を点ける。こういう場では普通相手に尋ねてから点けるのがマナーってモンだが、相手を挑発する意味も込めて敢えて無視して点ける。現にガタイの良い兄ちゃんの方は、あからさまに顔が歪んだ。おうおう、苛立ってる苛立ってる。実直な軍人タイプだねぇ……むしろ隣で呑気に茶ァ啜ってる細身の眼鏡の方が厄介。こっちの挑発にピクリとも反応しない。こりゃタフな心理戦になるぜ。
「いやぁ〜こっちも一応海軍大将なんて立場にあるもんで。一応友好関係にあるアメリカの大使館の方とはいえ、アポ取ってから来てもらわにゃあ困るんですよ」
まずは軽く先制ジャブ。『何アポも取らずにズケズケと上がり込んで来てんだ?あぁん?』という皮肉をたっぷり込めてつつく。
「いえ、私達もそうするのが筋というのは重々承知の上。しかし……表沙汰には出来ない事、というのは御座いましょう?お互いに」
「さてねぇ?俺に思い当たる節は無いんだが……そちらさんにはあるのかね?」
勿論これは嘘。思い当たる節なんぞ1つしかない。それを此方から口にしてしまえば、言質を取られかねない。だからこそ、相手の口から喋らせるように誘導する。
「惚けるな!貴様がこの鎮守府に我が軍の艦娘『サラトガ』を不当に拉致している事は知れているのだ!」
ドン!とテーブルを拳で叩いて怒鳴るガタイの良い兄ちゃん。こりゃ眼鏡のオッサンと違って単細胞か?小細工とか苦手そうだしなぁ……てか、テーブル叩いてくれちゃったお陰でティーカップが落ちて割れたんだが。確かコレって金剛が気に入って集めてた高級品じゃなかったか?あ〜あ、これ請求書切れんのかね?
「サラトガぁ?……あぁ、深海の連中に捕まってた例の美人さんかね。ありゃアメリカの艦娘だったのか」
「その通りだ!貴様ごときが不当に拉致していい存在では無い!」
この兄ちゃんアホなんじゃねぇの?一国の海軍の大将捕まえて、『貴様ごとき』と来やがった。政治的にも大問題じゃねぇ?この発言て。この兄ちゃんが『本当の所属している組織』でどれだけ偉いのかは知らんが、どう見ても三下臭い匂いがプンプンするんだが。その辺をつついてみるか?と思っていたら、意外な所から横槍が入った。
「止めんか。お前の発言は礼を失していると解らんのか」
そう言ったのは眼鏡のオッサン。こりゃ無礼を諌めるというより、これ以上の失言を止めに来たって感じだねぇ。事実これ以上アホな発言を続けてくれれば、間違いなくこっちだけが特をする展開に持ち込めたしな。
「し、し
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