MR編
百四十九話 別れの時が来るまでは
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の……お前らの意志なら、俺が口を出すのはもう、完全に筋違いだな。何も言わねえよ」
「リョウ……!」
「まぁ、なんだ……今更だが、俺につき合わせて―ことがあんなら、遠慮しねーで言えや。普段お前らに付き合ってる程度にゃ、付き合ってやるよ」
「うん!ありが……って」
うん?いや待て、何時も自分が付き合わせている?「自分」が?「リョウ」を?
「それ、どっちかっていうと逆の方が多いじゃない!」
「あー?そーだったか?」
肩をすくめて笑うリョウに向かって口を尖らせながらも、久々にアスナは心からリョウに笑いかける、宴の声が、今もにぎやかに響いていた。
────
「……リョウ」
「おう」
宴の中に戻って、皆に向けてデザートのタルトを振るまい始めたアスナと、その隣で笑うユウキを見ながらグラスを傾けていたリョウに、サチが声を掛ける。話し合いの結果を、二人の様子から察したのだろう、彼女はリョウに微笑みかけながら言った。
「ありがとう……それに、心配させてごめんね?」
「……ったく、お前といいアスナといい……だから、詫びも礼も要らねぇっつーの。俺が勝手に要らん節介焼いて失敗しただけだろ」
「要らないなんて事ないし、失敗だってしてないよ……?」
自嘲気味に言うリョウを諫めるように、サチは首を横に振った。
「リョウが心配してくれて、私もアスナも、凄く嬉しかったのは本当だもん。だから……ありがとう」
「……へいへい。ま、結局んとこ、俺が想うほどあの騎士姫さんは小娘じゃなかったみてーだがな……死ぬの覚悟するより、キツい方選びやがったからな彼奴」
「…………」
覚悟はしないと、彼女は言った。違う。本人に自覚があるにせよ無いにせよ、間違いなく彼女は一つの決意をした。ユウキと共に彼女の最後の瞬間まで、「共に生き抜く覚悟」だ。其れはある意味で、ユウキの運命に納得し諦める、それを受け止める覚悟よりも彼女の心にとっては負担になる。何故なら、退路がないからだ。
彼女の後ろにもう道はない。「共に戦う」ということは、ユウキがこの先歩むであろう彼女の死への一本道を共に歩くという事に他ならない。リョウが提示した「諦め」と「納得」というクッションをユウキとの間に置くことを拒否した以上、ユウキの死と言う現実にやがて彼女がぶつかった時は、その衝撃を全て、しかも一人で受け止めなくてはならない。
「一人でやって、折れなきゃいいがな」
「……一人じゃないよ」
「…………」
半ば予想していた通りの言葉を、サチが言った。変わらずアスナ達の姿を眺めながら、リョウが問い返す。
「……良いのか?」
「うん……ホントは、少し怖い……でも、きっと今ユウキからも逃げたら、後でもっと後悔すると思うから……だから私は……アスナとユウキの傍に居ようと思います……ごめ
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