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SAO─戦士達の物語
MR編
百四十九話 別れの時が来るまでは
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タレみたいなのと、わさび醤油とか、あ、チャツネみたいなのも作ったよ?」
「ははぁ、お前らも凝り性だな相変わらず」
関心と呆れを半々に含んだ顔でリョウが苦笑する。実際、彼女たちの料理はどんどん凝ったものになってきている気がする。SAOからその情熱を見てきては居るが、ここ一年でさらに進化したようだ。

「料理始めたのは同じころだったと思うんだがなぁ」
「あぁ、そうだね。プラスチックの包丁使ってたっけ……」
「あれもよく出来てたよなぁ、今じゃ天地ほど差が付いたもんだ」
「リョウだって上手だよ?それに、私はリョウの料理の方が好きかな……」
「あぁ?なんで」
「勿論、美味しいからだよ?」
特に何か濁すでもなく、とても素直にそう言った彼女の言葉をリョウは奇妙な物を見るように見た。しかし特に彼女が笑顔を崩す様子もなく、どうやら本気で言っているらしいと聞いて益々首を傾げる。

「あのなぁ、お前が作る方が美味いだろうがどう考えても」
「くす、ありがとう」
何言ってんだと言わんばかりに苦笑して言うリョウに、サチも変わらず微笑みを返す。けれど、サチはあくまでも本気でリョウの料理の方がおいしいと思っているのだ。理由は……おそらく自分以外には分かってはもらえないけれど。

「さて……んでー?いい加減茶待つのもあれなんだが、お前いつまでそこに居る気だアスナ」
「う……気が付いてたの……?」
突然、リョウが森の家の陰に向かって声を掛ける。すると角から、おずおずとしたアスナが顔を出した。その顔に、リョウは憮然とした様子で返す。

「舐めんな。俺の聞き耳と索敵が幾つか今更いうか?」
「なんでこんな時にそんなスキル使ってるの……」
「癖だ癖」
どこか気まずそうに目を逸らすアスナを見て、サチが苦笑しているのを見て、リョウが腕を組んだ。

「ったく……気ぃ使ったのかタイミング測ってたんか知らねぇがな……隠れんな。気になるわ」
「はい……」
「あははは……」
うなだれる少女と呆れた様子の青年の間に座って、サチが苦笑する、しかしリョウは一つため息をつくと、改めてアスナを見て聞きなおした。

「で?俺に用か?それともサチか」
「……リョウに、話があってきたの」
「…………」
腕を組んだまま、リョウはアスナを見返す。自分を見るその瞳がいつにもまして真剣さを帯びていて、彼女が今度の事に結論を出したのだと彼は理解する。

「……裏いくか」
「うん」
言いながら立ち上がったリョウに、アスナが頷く。先を歩いていくリョウの後ろで振り向いたアスナとサチの視線が交差して、アスナが小さくうなづく。返すように、サチが小さく微笑んだ。

「……頑張って」
「っ……うんっ」

────

「さ、て……んで?まぁこないだの車ん中の話の続き……
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