MR編
百四十九話 別れの時が来るまでは
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たとか言い出す?」
「最初の頃はお姉ちゃんが自分の所為だって言ってたんだけどね、その内お兄ちゃんの方から否定するようになって……ほら、小学生って、そう言うのからかうじゃない?」
「あぁ、分かるよ」
そう言えば自分が小学校の頃にもそう言うことはままあった。今にして思えば「だったらどうした」と言ってしまえば済むような話だが、昔はそう言うのが妙に気恥ずかしい時期もあったのだ。しかし、ということは……
「しかし、兄貴にもそんな可愛らしい時期があったのか……」
「今にして思うと、私でも信じられないけどね……」
お互いに今のリョウが見せる普段の様子を思い出して、笑いをこらえる。現在の飄々とした彼の事を思うと、そんな可愛げがあったのだと言われてもなんとも信じがたい。
「もしかしたら……」
「ん?」
「……ううん、何でもないわアスナとリョウ兄ちゃんが上手く仲直りできるように、今は祈りましょ」
「……そうだな」
リョウへと歩み寄っていくサチの姿を眺めながら、二人はもう一口コップに口を付けた。
────
「みんなと食べないの?」
「ん?あぁ、食休みだよ食休み」
森の家の中、キリト達が見るその視線の先に、くしくも彼らと同じような会話をしながらサチを迎えるリョウの姿があった。モスミントの煙を燻らせる彼にサチが皿を持って近づいて行くと、リョウは即座に煙を吐き出すその棒を引っ込める。
「ふふ、私、気にしないよ?」
「だろうな」
肩をすくめるリョウを見て、サチは笑いながらピーマンと肉を同時にフォークで口に運ぶ。数回咀嚼して、コクリと頷きながら飲み込んだ。
「お前、相変わらず肉と野菜一緒に食うの好きだな……」
「くす……リョウも食べる?」
言いながら、サチは焼いた人参と肉を刺したフォークをリョウに向かって差し出す。しかし……
「あ……」
出してからその体制がどう言う意味を持つか気がついたのか、少し?を染めながらフォークを引っ込めようとした。
「んじゃいただき」
「えっ」
まあ引き戻したフォークからは野菜も肉も消えていたわけだが……
「……!?」
「ん、んー、ん。まあ確かに悪くはねえか……」
「〜〜〜〜ッ!!?」
悲鳴をあげなかった自分の自制心を褒めてやりたくなるほど、顔の温度が急上昇していく。全く自覚無さげに肉を食む目の前の幼馴染にも何かしら言ってやりたかったが、結局数回口をパクパクとするだけで何も言えなくなった。今更だが、最早彼の中に自分に対して羞恥心というものは存在しないのかと疑いたくなる。
「え……エギルさん、お肉焼くの上手だよね……」
「ん?一応リアルじゃ本職だからなぁ、其処は面子ってのがあるだろうよ。タレはお前らが作ったんだろ?」
「う、うん。明日奈と、ユウキも一緒。焼き肉の
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