MR編
百四十九話 別れの時が来るまでは
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「なんていうか……慣れてないからなのかな、楽しいんだけど疲れるのが早くてね……だから、ちょっと休憩してる」
「あぁ、なるほど」
多分、少しだけ気持ちが付いていっていないのだろうなと思う。あまりにも思いもしなかった状況過ぎるから、付いていきたくても気持ちが付いていっていないのだ。
「何となく分かるよ。俺も昔は一人の時間が長かったから、ギルドに入った時はついていけない時もあって大変だった」
「へぇ、アンタが?」
今は集団の中心に居る彼に、そう言った時期があったことはシノンにしてみると意外だった。
「SAO時代に、サチの居たギルドに入ってたことがあってさ。そこにいた頃にな……」
キリト自身、今自分がこの話を出来ていることが少し不思議だった。昔の自分であればこんな風にこの話題を……黒猫団の話を持ち出すことなど出来はしなかっただろう。それが出来ているのは、自分にとっての出来事を一つの過去として消化できたからなのか、あるいは自分の罪過であるそれと自分の中ではっきりと向き合いながら生きられるだけの強さを、仲間達からもらう事が出来たからなのか……
「時間をかけて慣れて行ったんだ……それからアスナに出会って、リズやシリカに出会って……」
「で、最終的に女の子をはべらせるようになったわけ?」
「その言い方だとなんか、人聞き悪くないか……?」
「あら、そう?」
別に特に間違いを言ってる訳じゃないと思うけど。と言いながら、すました表情でふりゅんと尻尾を振る。その様子に憮然とした顔になりつつ、キリトは騒ぐ皆を見ながら言った。
「だからまぁ、もし俺がそう言うのを意外に見えたなら、みんなのおかげだよ。シノンから感謝を貰うなら、俺はみんなに感謝しないとだな」
「アスナとか?」
「兄貴とサチもだ」
言いながら、二人は目線を合わせて、集団から少し離れた場所に居るリョウ、サチの元へ歩いていくアスナを見る。互いに何を言うでもなく、お互いの心配事を二人は察していた。
「お互い、結構気をもんでるみたいだな?」
「何が出来る訳じゃないけどね……でも、あの二人の空気が悪いと、みんな少し気にするみたいだし……」
「何時も中心に居る二人だしなぁ、兄貴があんな風に仲間内で揉めるの、珍しいんだよな……」
「昔はよく喧嘩したりもしてたけどね……」
「そうなのか?」
ふと思い出すように、シノンは中空を仰ぐ。少し考えて、彼女は小さくうなづいた。
「よく近所の子と喧嘩したりしてた。まぁ、大抵はお姉ちゃん絡みが多かったけど」
「サチ絡みって……」
「昔から気が弱くて可愛かったから、よく近所の男の子に絡まれてたのよ。それでリョウ兄ちゃんが殴るのがお決まり」
「あぁ……」
何となく想像出来てしまって、キリトは苦笑する。
「で、俺が勝手にやっ
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