第3章 波乱の肝試し
第64話『奇妙な行事』
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れを気に留める余裕は晴登に無かった。
「何だよ…あれ…」
その物体は遠目でしか視認できなかったが、存在感はとても大きく、晴登の目を一瞬で奪った。
「どうした三浦──ん?」
止まった晴登に声を掛けると同時に、終夜も"それ"に気づいたようだ。
ゆらゆらと空中を踊る、青白い炎に。
「きゃあああぁぁ!!」
悲鳴をあげたのは緋翼だった。その声に、部員全員に緊張が走る。
「内心信じてなかったけど、マジだったのか…」
「アレって何だと思う、暁君?!」
「何ってそりゃ──"人魂"じゃねぇのか?」
少しだけ、伸太郎の声は震えていた。
人魂と云えば、読んで字のごとく"人の魂"。それが出現するということは、この地がそういうものと縁が有るということになる。
「部長、どうしたら…?!」
「落ち着け。あんなの、この肝試しじゃ日常茶飯事だ」
「え、そうなんですか…?」
「あぁ。コイツがビビり過ぎなだけだ」
そう言って、終夜は緋翼に視線を送る。彼女は頭を抱えて蹲っていたが、その視線を感じるとすぐに立ち上がり、何事も無かったかのようにすました顔をしていた。
「日常茶飯事なのか、アレ……」
晴登は釈然としないまま、歩みを再開した終夜達について行く。しかし、事はその直後だった。
『タス…ケテ…』
「…ん?」
『タス…ケテ…』
「え、えぇ??」
突如として頭に響く声。晴登は困惑し、思わず驚きを声に出す。
すると、何かあったかと終夜が振り返った。
「あの、声が頭に…」
「は、何言ってんだ? 誰かテレパシーでも使うのか?」
「いえ、知らないですけど……」
終夜は晴登の話を適当に流す。もしかすると、これも肝試しでは日常茶飯事なのかもしれない。
「じゃあ、無視していいのかな…?」
『タスケテ…』
「無視だ無視」
『タスケテータスケテー』
「…無視だ」
『タスケテタスケテタスケテー!!』
「いや、うるさっ!? 何これ!?」
SOSが大音量になった所で、我慢できずに再び叫ぶ。その様子に、さすがの終夜も気になったようで、歩みを止める。
「さっきからどうした? 呪われでもしたか?」
「縁起でもないこと言わないで下さい! 大体、呪われるって何に──」
そこまで言って、目線が背後へと戻った。そこでは、先程の人魂が未だにゆらゆらと宙を揺蕩っている。
「もしかして・・・アレのせいですか?」
「人魂が呪う・・・有り得ない話では無いな。ちょっと行ってみ
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