第3章 波乱の肝試し
第64話『奇妙な行事』
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れるというのは、さすがに子供騙しにしか聞こえない。
「お化けの国だよ。その名の通り、お化け達がいっぱいいる場所だ」
「は、はぁ…」
「信じてない顔だな。ホントにあるんだぞ?」
「見たことは有るんですか…?」
「もちろん無い」
「えぇ……」
これには、さすがの晴登も露骨にため息。根も葉もない噂話を信じている終夜が、とても憐れに思える。
しかし、そんな様子の晴登を見た終夜が、黙っている訳が無かった。
「そりゃ、期間外に行くことは禁止されてるんだから、当然見たことがある奴はいないだろうな」
「そうですよね」
「でも実際、去年は1人連れて行かれたって噂よ」
「え!?」
口を挟んできたのは緋翼だった。見ると、彼女の表情は真剣そのものであり、ホラを吹いている様にはとても見えない。
「誰かが足りない、かつていた気がするけど思い出せない、そんな人がいるって噂。まるで皆の記憶でも操られているかのように、その存在は曖昧になっているの…」ガクガク
緋翼が本気で震え始めて、晴登の背筋に悪寒が走った。終夜の方を見ると、彼は腕を組みながらうんうんと頷いている。
「いやいや、シャレになってませんって!?」
「よーし、じゃあ話を戻すが・・・いつ肝試しに行くか、だ」
「スルーしちゃダメでしょ!?」
終夜は声のトーンを少し下げ、怪談を語るかの様に喋り始めた。人の話を無視しておいて、よくここまで真面目な表情ができるとは。逆にすごい。
「普通に考えてわかると思うが、早い時間帯を勧める。うちの学校の森は広いからな。迷うことも十分考えられる。迷ってる内に24時を過ぎたりなんかしたら最悪だ」
「ていうか、このイベント必要ですか…? 噂だけど、被害が出ちゃってるんですよね…?」
「このイベントが必要な理由・・・それは知らん。たぶん何かしらの目的は有るんだろうけど、そんなの俺たちが知る由は無い。ただとりあえず、規則をしっかりと守りさえすれば、お化けに連れ去られないのは確かだ」
「…はい、わかりました」
やはり、相談したのは正解だった。実にとんでもない内容だったが、知らないよりは幾分マシである。後は、規則に従って肝試しをするだけ・・・
「──と、忠告したのは良いけれど、実は俺に考えが有ってだな。魔術部で肝試しに行くのはどうだ?」
その提案が出された途端、部員全員の目が一斉に終夜に向いた。彼はその様子を見て、話を続ける。
「ほら、俺らってあまり全員参加の行事が無いだろ? だから、こういう時くらいは部活単位で活動したいなって」
「確かに、GW以来かもしれないわね」
「俺は良いと思います。
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