■■SAO編 主人公:マルバ■■
二人は出会い、そして◆強くなりたい、彼を守るために
第二十話 強くなりたい
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られるのを防いだのがキリトなんだ。彼のおかげでベータテスト経験者だって安心して名乗れるようになって、ベータテスト時代の情報も出まわるようになって、結果的に死亡者がすごく減った。彼はすごい人だよ。戦い方もあらゆる動作に無駄がなくて、勇敢に敵の間合いに入りながら引き際もわきまえている。ちょっと尊敬してるんだ。」
「へえー、そうだったんですか。」
ビーターに対する評価を改めたシリカだった。
転移門前でシリカは少し悩んだ。そんなシリカにマルバが心配そうに声をかける。
「どうしたの?」
「うーん、このまま三十五層主街区に戻るとまた勧誘されるのかなって思いまして。」
「あー、あれか。宿まで送ろうか?」
「いえ、今日からホームタウンを変えることにします。しばらくマルバさんと一緒にいることになりますし、そろそろ宿屋の契約期限も切れるところだったので。でも一旦宿に戻って家具とか持ってこなきゃいけないですね。」
「そっか、それじゃ手伝うよ。持ってくの大変でしょ?」
「大丈夫です。ストレージの容量にはけっこう空きがありますし、こんな時間に勧誘する人もいないでしょうから。」
「そう?それじゃ、後でちょっと僕の部屋に来てくれない?明日以降の計画を立てたいから。」
「分かりました。それじゃあまた後で。」
シリカが先に転移門に消え、マルバは手を振って短い別れを告げた。
「なんか変な感じだねえ、僕が誰かとパーティー組むなんて。」
何気なく足元のユキに話しかける。視界の隅に映る二つ目のHPゲージが奇妙なもののように思えた。
……この世界で、マルバはずっと攻略に向けて全力を尽くしてきた。それが彼の全てだったからだ。故に他のプレイヤーとの交流は無意味だと切り捨ててきた。月夜の黒猫団と関わりを持ったのだって攻略に必要だったから仕方なくという理由に過ぎない。
そんなマルバが自分自身の行動に疑問を持つようになったのは先程まで一緒にいた一人の少女の所為に他ならなかった。思えば、ここに来てから初めて興味を持ったプレイヤーは彼女ではなかったか。他のプレイヤーが見る世界を知りたいと願ったのは初めてのことだった。マルバにとっては攻略が全てだったから、攻略を目指さないプレイヤーの世界なんてどうでも良かったのだ。
でも、今は違う。もっと彼女が見る世界を知りたい。可能ならば、彼女のそばで彼女を支えたい。
そして、その願いはシリカと全く同じであった。
転移門を抜けて第三十五層に着いたシリカは、マルバのことを思い返していた。
シリカは初めて話して以来マルバの優しさに惹かれていた。きっと彼は本来あんな性格で、誰にでも好かれるような人なのだろう。だからこそ彼女は思ったのだ。そんな人が何故ソロでいるのだろう。なぜ誰ともパーティーを組まな
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