第百二十六話 宮中動乱
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の誘導術も役に立ったのである。直ぐさま、グリンメルスハウゼン上級大将に連絡を行い、内容を報告後、実際に起こっている事件を聞き、テレーゼ皇女が無事な事も確認した後、何食わぬ顔で、近衛少佐に館の周囲の警戒を許可したのである。
館の周囲に散った近衛兵の事をメイドから聞いたシュザンナは、不安に思い、クルムバッハ中佐を呼んで話を聞く事にした。
「クルムバッハ、館の周囲の近衛はいったい如何様な仕儀じゃ?」
「御意、クーデターにございます」
「なんじゃと」
クルムバッハも幼い頃より知っているベーネミュンデ侯爵夫人ならば、取り乱す事がないと確信し、今後の事も考え打ち明けたのである。
「この地の近衛は、完全にクーデターと思ってはおりません。単に寵姫様方が危害を加えられないように、お守りしている状態です」
「なるほど、銃声も聞こえないのはその為じゃな」
「その通りでございます」
「して、真の狙いはどの様なことじゃ」
「はっ、近衛の言うところに拠りますと、『君側の奸リヒテンラーデ侯爵と毒婦グリューネワルト伯爵夫人の逮捕が目的』と言っております」
クルムバッハの言葉を、シュザンナはその愁眉な眉を顰めながら聞いている。
「クルムバッハ、妙じゃな、リヒテンラーデ侯爵は、独善的な所はあるが、陛下に対する忠誠心は本物じゃ、それにグリューネワルト伯爵夫人が毒婦とは、可笑し過ぎるわ。その皇太子の命令とやらも怪しすぎるわ」
「総監部からの命令で、極力知らぬ振りをして侯爵夫人をお守りするようにとの事でございます」
「なるほど、亀のように甲羅に入っておれと言う訳じゃな」
「仰る通りでございます」
「クーデターとすれば、首謀者は誰なのじゃ?」
「現在の所、よく判っていませんが、近衛はラムスドルフ上級大将の命令で動いていると、更に皇太子殿下とクロプシュトック侯爵が皇帝陛下へ謁見をしており・・・」
歯切れの悪い、クルムバッハの言葉に何か感じたのか、シュザンナがまくし立てる。
「クルムバッハ、正直にお言いなさい。後誰が居るのかしら?」
観念したように、クルムバッハは白状する。
「はっ、リッテンハイム侯爵とヘルクスハイマー伯爵が競馬場に於いてテレーゼ皇女様の暗殺を・・・」
その瞬間、座っていた、シュザンナが立ち上がり、クルムバッハの軍服の喉の所を掴んで振り始める。
「何ですって、テレーゼは無事なのですか!!!!」
振り回されながらもクルムバッハは答える。
「ご無事でございます」
「良かったわー」
シュザンナは、我が子の無事を聞き、ホッとしたのか、クルムバッハの襟首を掴むのを止めて床に座り込んだ。
「ヘルクスハイマー伯爵とシャッハウゼン子爵の決闘の見物に行かれ、ヘルクスハイマー伯爵側の決闘代理人に暗殺されかけ
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