砕け散った世界
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「キャハハハハハ」――うるさい。
「キャハハハハハ!!」――うるさいです。
「ギャギャギャギャ」――やめてくださいっ。
外の世界は敵となってしまいました。仲の良かった……友達だと思っていたのにそれはわたしの一方的な想い? 勘違いだったの? 彼女たちまで笑います。
知らない上級生の先輩達も笑います。廊下を歩いているだけなのにっ、すれ違う人、みんながみんなが、わたしを指さし笑います。もうなんなのっわたしが何をしたっていうんですかっ。
涙が止まらないわたしの前に立つのはハートの女王様は「ねぇなんで生きているの?」――もうヤエテェェェェェェェッェェェェッ!!!
逃げるようにその場を後にしました。後ろから先生の心配するような声が聞こえたような気もしたけどそんなのは気のせいです。だって先生はハートの女王様の手下なんだから。子供を持つお母さんなのだから。四十人もいる生徒たちの一人でしかないわたしのことなんて、誰も見つけてくれないのですっ。
闇雲に歩き続けました。どこでもいい。敵ばかりの教室。敵ばかりの廊下。敵ばかりの校舎。そこ以外だったらどこでもよかった。とにかくここから逃げ出したかった。独りになりたかった――誰かに会いたかった。
ここは……旧校舎? 無意識で、無我夢中で歩き続けて辿り着いたのは旧校舎でした。足元は夏の間鳴き続けて力尽きた蝉達の死骸で埋め尽くしていました。虫は苦手。カブトムシはG殿の親戚だから嫌いです。蝉取りなんてありえない――そう思っていたはずなのに今日足元に転がる蝉の死骸を見ても不思議と不快な気分にはなりませんでした。ただ一言、お疲れ様でした蝉さんたち。
旧校舎に入って行きました。最近は休憩時間のたびに会いに行っているかもしれない彼の元へ。
最初はただ変な人だと思っていました。せっかく面白い話をしてあげても茶化してふざけて真面目には聞いてくれない変な人。でも彼だけでした、わたしの話を少しでも聞いてくれたのは――実の両親ですらわたしの話なんて聞いてくれなかったのに。
少しずつ近づいてくるいつもの教室。自然と胸が躍ります。足がスキップを踏んでしまいます。……こんなところを見られたらどうしよう、恥ずかしいな、なんて思いながら引き戸へ手をかけると
「そうなんですか〜あははっ」
楽しそうに笑う彼の声と
「そうなのよ。突然発狂してね」
もう嫌というくらいに聞いた声。わたしを蔑んだ瞳で見つめ、嘘で塗り固めた笑顔で平然と嘘を吐いて回る、ハートの女王様と僕のトランプ兵たちだ……どうして彼女たちがこんな薄汚れた旧校舎なんかに? ……それよりもチェシャ猫となにを楽しそうに話しているの? ねぇ――なにを?
「本当っ俺の狙った通りに事が動いてくれてよかったよ」ニカッと見たことのない悪い笑みを浮かべ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ