敵となった世界
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その日世界が敵となりました――
朝学校へくると下駄箱からわたしのシューズが消えていました。
外の世界からくすくすと女の子の笑い声が聞こえてきます。他のみんなの話し声に混じって聞こえてきこえてきました。雑音交じりの、ノイズまみれの、中でもはっきりと聞こえました。数名の女の子達が下駄箱の端に隠れてわたしを見ながら笑っている姿が。
――その日からわたしはスリッパ生活を始めました。買ってもまた消えるから。何度でも。
休憩時間お手洗いから帰って来ると机の中に入れていた教科書が消えました。
外の世界からくすくすと女の子の笑い声が聞こえてきます。クラスメイトの笑い声や話声に混じって聞こえてきます。雑音交じりの、ノイズまみれの、中でもはっきりと聞こえました。
――見つけました。ゴミ箱の中にビリビリに切り刻まれた教科書を。名前の欄に<アリス>と書かれていました。
ある日の授業。わたしの得意科目である国語の授業時間。
クラスの人数を半分にして専門的に学べる授業。教室は移動したり座る席が違います。前の席に座っていたじゅっちゃんから、授業中だというのにお手紙が回ってきました。
無視しても何度も回って来て、わたしにも返事を書けと言うのです。仕方なく書くと内容がだんだん、坊主の話題になっていきました。
『坊主の事は好き?』
―どちらでもない。けど嫌いです。
『ダイヤのキングのことは?』
―不良は怖いから嫌いです。
わたしにとってはちょっとした息抜き。ちょっとした愚痴を零したつもりでした。なのにあんなことをするなんて……。
その日のお昼休み。いつも放送部の人たちが何かしらの放送をしています。今日は他の人から匿名で送られて来たお悩み相談室。
こんな公開処刑みたいなこと良くやるなぁ……わたしだったら絶対にごめんだなぁ……とコッペパンをかじりながら聞いていると
「今日のお悩み相談者は〜〜〜一年のアリスちゃん!」
――ブッ!!?
「うわっ汚い!?」
ごめんなさい。でも放送部の人が言った名前にびっくりして思わず口に入っていた物を噴き出しそうになってしまいました。かろうじて出ませんでしたけど。すぐに手で押さえたので。その手は汚くなってしまったけど。
わたしは放送部の人にこんな依頼をした覚えはありません。でも一年生のアリスちゃんと言えばわたししかいません。そして語られている内容も今日の国語の授業中にじゅっちゃんと交わした手紙の内容、つい零してしまった愚痴でした。
――文字通りの公開処刑でした。
クラスの人全員がわたしの方を見ます。よくわかっていないのは担任の先生だけ。
――また改めてじゅっちゃんの恐ろしさを感じた瞬間でし
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