EX回:第4話(改2)<策略とお祭り広場>
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撫でている。
「ああ、美しい姉妹愛ではないか!」
私はワザとらしく彼女たち姉妹に声をかけた。その一言で船内に漂っていた緊迫した空気が薄れた。何人かの艦娘は微笑んでいた。
祥高さんは寛代に命令変更を伝えに行くのかな? と思っていたら彼女は、その場で考え込むような仕草をしている。すると、ちょっと間があって前の幌の下に座っていた寛代が首だけ振り返るようにして軽く頷いた。
(……あ、そうか)
寛代は通信に特化した艦娘だ。そして秘書艦である祥高さんも司令部だけが使う特殊な緊急周波数を持っている。当然ブルネイの艦娘たちには通じない。改めて艦娘は便利だなと思った。
すると黙って腕組をしていた技術参謀も頷いている。
(なるほど、彼女も同じ周波数を持っているのか……本部の参謀だから当然か)
「あーあ。こんなリゾートみたいなところで演習するよりゴロゴロしたいわあぁ」
龍田さんの声。彼女は船べりから青い海面を片手で撫でている。時おり雫を垂らした手を上げて、きらきらと光る雫を見つめている。
相変わらずマイペースな龍田さんだが……ふと私には彼女はブルネイの艦娘たちが今の極秘のやり取りに気付かないよう意図的に注意を逸らしたのかな? ……とも感じるのだった。
彼女は軽巡で駆逐艦の作戦指揮を執ることもある立場だ。特殊な周波数を持っている可能性は十分にある。
その一方で赤城さんは、まだ煎餅みたいなのボリボリ真顔で食べている。
(それは美保から持ってきたのか?)
つい、どうでもイイことを考えてしまう。
(やれやれ)
この落差と言うか艦娘たちの個性の強さは独特だ。最近は慣れたが美保へ着任した当初は、この雰囲気で妙に疲れたことを思い出した。
私が物欲しそうに見えたのだろう。赤城さんは急に私の方へ袋を突き出して言った。
「ひれい(司令)も食べまふ?」
「いや、良い」
私は苦笑して手を振った。
「うふ」
不思議な笑顔を見せて、再びブルネイの埠頭に向き直る彼女。
最近、赤城さんって、ちょっと性格が変わったような気がするが……今まで猫かぶってたのだろうか?
(でも、ざっくばらんな赤城さんの方が良いけどね)
改めて後ろのほうを振り返ると静かな艦娘……夕張さんも居たな。黙って本を読んでいるから全然、分からなかった。
よく見ると違和感……
「あれ? メガネかけているのか?」
そんな私の台詞に気付いた彼女は顔を上げた。
「最近、視力が落ちましたよ」
「そりゃ、ご愁傷様」
……てか、彼女の場合、職務に加えて凝り性だからな。
「開発も、ほどほどにね」
「ハァイ」
……軽いな。まぁ良い。これが『彼女』だ。
船べりでは金剛だけでなく夕立も完全にダウンしている。せ
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