『永遠のサヨナラ』
[8]前話
確かに此処に在った貴男を私は愛しく想う。偽りだったとしても少し解り合えた様な気になった。其れすら幻というのか...
どうか忘れないで。どうか伝わっていて。取り繕って偽りの姿だったけれど、貴男の為にという想いに偽りは無い事を...。
恐れた事は、殺されることより、殺さなければならない状況に陥った場合だった事。貴男を殺人犯にしてしまう事。其の2つだった。
いつかソッチで逢える日が来たら真っ先に言わせて欲しい。
『苦しい決断を背負わせてしまってごめんなさい』
記憶が戻ってると素直に言ってたなら、どんな今が在ったのだろうか。想像は付かないけれど、きっと望む通りの結果には成らなかっただろう...。
たったの1週間足らず。その殆どは記憶が無かった事によって曖昧な事も多い。それでも誠の存在に助けられた。
なのに貴男のことは助けられなかった...。助けられてばかりの私は誰かを陥れてしまう存在なのだろうか...。
誠は、目覚めて総てを知り、静かに涙を流した。近くに居ながら解らなかった想いが解り、何故何も気付かなかったのか、何故何も言えなかったのか、悔しくて情けないと...。
そんな温かい誠の本質すら最初に見抜いていたのかも知れない...。
何を言っても貴男は応えてくれない。何を聞いても貴男は教えてくれない。
どうして拉致られなきゃいけなかったのか。どうして貴男は死ななきゃいけなかったのか。
どうして...どうして...?
永遠に解らないまま...
まだまだこれから解り合えそうな貴男だった。さよならは信じれなくて、信じたくなくて...。
せめて、永遠の眠りが安らかで在るようにと願うのみ...
さよなら、いつかまた逢える日迄...。
さよなら、いつかまた逢えた日は、今度こそ本当の姿で語り合えたらなぁ...。
さよなら...。
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