第六話
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たり。
『能力』を与えられて、右目の視力を奪われたり。
………………後半が明らかに非日常だなおい。
俺は天井の木目を見ながらため息をついた。幸せが逃げようが知ったことではない。
神谷 沙紀。
今の俺の頭の中はアイツの顔で一杯になっていた。
本来なら、初めての一人暮らし。親が居ない中で、これからちゃんと生活できるのか心配になったりするものだが、アイツとのこれからの生活の方がよっぽど心配だった。
なにが起こるか分からない。比喩ではなく、マジで。
性格…………は、色々ぶっ飛んでる所があるけれども、友人として付き合うには面白いだろう。
容姿容貌…………は、正直好みのドストライク。性格とオプションがなければ完璧だったろう。
そう、オプション。
『能力』という名のオプション。
アイツに関する心配はそこに尽きる。
いや、考えてもみろよ。
例えば、『言霊』。
あれで、『八重樫 真広は死んだ』とかいったら、俺の人生終了だ。
なんなら、『この世界は滅びる』なんて言った、本当にゲームオーバーだ。
例えば『極』。
人類最高の身体能力と言うことは、それを利用すればオリンピックにも出放題、なんならワールドレコードすら更新可能だ。
もしかしたら、他にもかなりえぐいのがあるのかもしれない。
そう考えると、これから俺はどうすれば良いのかに悩む。
取り合えず、沙紀の機嫌を損ねないように……………………。
『……………………(ボロボロ)。』
そのとき、なぜか沙紀の泣き顔が頭に浮かんだ。
あれ、なんであのときアイツは泣いたんだ?
確か、俺がなにかをアイツに言って、それでだ。
えっと、確か……………………。
『…………いや、意外と神谷って可愛い顔してんだなって思っただけ。』
あ。
俺は思わずベッドから飛び起きた。
…………成る程な。
俺は恐らくは正解であろう解答にたどり着いた。
つまり、アイツは……………………。
普通に生きたいんだ。
『能力』なんてもののせいで、マトモに相手にされなかった。
だから、相手が欲しかった。
だから、話が合いそうな奴を探した。
それが俺だった。
たった、それだけの事だ。
アイツは、友達が欲しいんだ。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ