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勇者番長ダイバンチョウ
第22話 激突、星雲組!?男とは、時に敢えて道を踏み外す事もある(前編)
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る! ハジ、サブ! お前らは若い衆を引き連れてさっさとこの場から去れ! そして、一日も早く組を立て直せ!」
「兄貴、俺達も残りやす!」
「俺もだ! 死ぬ時は兄貴と共に死にますぜ!」
「馬鹿野郎! 時期を見誤るな! お前らにはお前らの成すべきことあがあるだろう。それを果たす前に死ぬことはこの俺が許さん! さっさと言われた通りにしろ!」
「あ、兄貴ぃぃ!」
「すんません、兄貴―――」

 涙を流す二人を背に、レッドは敵の波へと走って行った。
 真っ赤な背が巨大な炎となって揺らめいているようにも見えたと言う。

「覇罵根露組の雑魚とも! この極道レッドがてめぇらの相手をしてやる! まとめてかかってきやがれ!」
「たった一人で何言ってやがる! さっさとぶち殺せぃ!」

 覇罵根露組組長の号令を受けて怒涛の勢いで迫りくる敵の波。その波へとレッドは一人で突っ込んで行った。
 みなしごだった自分を拾ってくれた組長を、自分を慕う子分たちを、そして、大勢の仲間たちを守る為に―――




 再度、天の川宙域に星雲組が訪れたのは、それから一週間経った後の事だった。
 急ぎ兵力を整えて天の川宙域に戻った星雲組一同が見たのはそれは信じられない光景だった。

「こ、これは―――」
「全員・・・死んでる!!」

 それは、天の川宙域一面に横たわる覇罵根露組の構成員達、更には金で雇われた腕利きの殺し屋たちまでもが物言わぬ死体となって転がっていた。
 彼らの体から流れ出たオイルが当時、白く流れる事で有名だった天の川を真っ赤に染め上げてしまっていた。
 そして、そんな大勢の死体の上では、たった一人で覇罵根露組を全滅させたであろうレッドが立ったまま意識を失っている姿が其処にはあった。

「れ、レッドの兄貴・・・」
「すげぇぜ! やっぱ、兄貴は凄すぎるぜぇ!」

 この戦いの後、天の川宙域が一時的に赤く染まった事から『血の天の川事件』と呼ばれるようになり、極道レッドの名は、全宇宙に知れ渡るようになったと言う。
 そして、星雲組はこの戦いを皮切りに更なる戦いへと押し進むのであった―――




     ***




【以上が、兄貴の伝説と呼ばれている血の天の川事件の顛末なんですよ】

 自慢げに語るハジ。自分の兄貴分である為か相当鼻が高そうだ。
 んで、レッドはと言うと、自分の事を言われた為か少し恥ずかしそうに鼻っ柱辺りをかいている。

【そんなに持ち上げる事じゃないじゃろうに。昔の話なんじゃから気にすることないじゃろうに】
【しっかしやっぱすげぇなぁレッドは。血の天の川事件って言ったら俺も知ってるぜ。押し寄せる敵を千切っては投げ、千切っては投げって、そりゃもう凄すぎたからなぁ】

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