第二十四話 都その六
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「それはだ」
「わからないでござるな」
「二人共どういう者かもわかっていない」
「素直に来てくれる方ならともかく」
「そうでない場合はだ」
「来てくれるにも揉める」
「そうなってしまう」
危惧するのはこのことだった。
「だがこの世界を救うならだ」
「どうしてもでござるな」
「来てもらう必要がある」
これは絶対だというのだ。
「だからだ」
「幾ら難しい事態になろうとも」
「来てもらう」
「そうすべきでござるな」
「そう考えている」
「では」
「覚悟は決めている」
幾ら自体が困難なことになろうともというのだ。
「やり遂げる、この都で二人を仲間にするぞ」
「ではまずはどちらに」
「どちらに行ってもいいが」
それでも言う英雄だった。
「近い方がいいか」
「宿からでござるか」
「そうだ、この宿からな」
「では」
正は英雄のその話を聞いて言った。
「寺にするでござるか」
「寺か」
「この宿の近くに天台寺というこの島で屈指の名刹があるでござるが」
「その寺にか」
「いるとのことでござる」
外から来た者、十二人の一人がというのだ。
「どうやら」
「ではな」
「天台寺に行くでござるな」
「そうしよう、そしてだ」
「その者に会い」
「話をしよう」
「さすれば」
正も応えた、そして。
応えてから酒を飲みだ、英雄にその酒の話をした。
「堺の酒よりも」
「飲みやすいな」
英雄も応えて言う。
「そうだな、これならまだ飲める」
「もう少し注文するでござるか」
「そうしよう」
酒を出してくれた宿にというのだ。
「金を払ってだ」
「そうして飲みましょうぞ」
「もう一人入って来てもな」
「その者も入れてですな」
「飲もう」
「しかし次の御仁は僧侶でござるな」
「般若湯になる」
あっさりとだ、英雄は正に煎り豆を食いつつ返した。豆のその味と硬さを楽しみつつそうした。
「だからいい」
「般若湯でござるな」
「あくまでな」
「酒ではなく」
「般若湯だ」
酒を飲みつつさらに言った。
「そうなる」
「便利な言葉ですな」
「全くだ、昔からこの名で寺でも飲まれていた」
酒がだ、尚明治以降仏門でも肉食妻帯はよくなった。元々仏教はどちらもよかったがインドから中国を経る間にそうした禁欲が加わっていたという。
「だからいい」
「仏門で問題なのは」
「残すことだな」
「出されたものを」
「布施、そうなるものはだ」
今の彼等の時代の日本の仏教の話をだ、英雄はした。
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