第三十七話
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「こなくそっ…………!」
俺は自分に喝を入れながら対空射撃を繰り返していた。
どうやら向こうになかなかの空母が居るのか、さっきから偵察機の数がかなり多い。何機かはとりのがしてしまったらしい。
しかし、と俺は一言言った。
「これって見事にオトリ役だよな…………。」
そう。俺は今、完全に他の奴とは別行動をしている。
長門さんから伝えられた作戦は、「派手に動いていろ。」だった。何をどうこうしろと言わないのは木曾と一緒だった。
取り合えず俺は、目立つところで敵艦隊に突撃。全員の艦種を確認した。扶桑、霧島、瑞鶴、鳥海…………の四人しか判別出来なかったけども。
しかし、長門さんもなかなか腹黒いこと考えたな、と考えていた。
男とはいえ、軽巡一人に戦艦一人と空母一人を任せるのかよ。
正直、ちょっとでも気を抜いたらあっという間に大破させられそうだ。流石に戦艦と空母だな。
俺は近くの岩影に隠れて、息を整える。
「くっそ…………早くしてくれよ、木曾…………!」
『もう終わってらぁ。そっちこそ一人ぐらい大破させといてくれよ。』
俺がそんなことを呟いたとき、耳元で木曾の声がした。木曾からの通信だ。
「は?もうか?」
『当たり前だ。オレと長門さんの二人で重巡二隻だぜ?沈めないように手加減する方が大変だったわ。』
長門さんの作戦はこうだ。
トラック基地の提督は、二手に分けて行動することが多い。片方は陽動部隊、もう片方は主力部隊みたいな感じで。前に陽動に見事に引っ掛かったことがあったらしい(因みに、そのあと木曾がぶちギレたらしく、敵戦力を小破しながら壊滅させたらしい。相変わらず頭おかしい)。
だから今回は俺を主力部隊にぶち当てて、その間に他の奴らが陽動部隊を潰すらしい。頭おかしいと思ったね。
まぁ、なんとかしてる訳だけども。そうなると摩耶さんたちに早くなんとかしてほしい。二対三だから大丈夫だとは思うけど…………。
「取り合えず、木曾たちはこっちに来てくれないか?なんか瑞鶴さんが他の方向に艦載機飛ばし始めてるぞ。」
俺が敵艦隊の二人の方を見たとき、何やら瑞鶴さんが他の方向に弓を引いていたのを確認した。方向的には、恐らく木曾と長門さんの方向だ。
大破した仲間から位置を聞いたのだろうか。
『成る程なぁ。長門さん、そいつら気絶させといてくれ。』
『ん、わかった。そぉい。』
長門さんの声がした後、ガツン!という大きい音が二回聴こえてきた。
…………ご冥福をお祈りしよう。
『取り合えず、オレらもそっち向かうわ。あーあ、オレ対空射撃苦手なのになぁ…………。』
木曾はそう言い
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