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枕元
第二章
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ないと駄目なんだね」
「そう。おかしな癖があるんだから」
 母はぼやきながら大輔の枕元から去った。そうしてだった。
 大輔は起き上がって布団から出てそのうえで兄を探しに風呂場に向かった。すると恭介は裸で浴槽の中にいてそこで気持ちよさそうに寝ていた。
 恭介はこの後母にこってりと絞られた。しかしその次の日にはだった。
 夜にはまた美味そうにビールを飲み大輔にこう言うのだった。
「御前の通ってる小学校な。お兄ちゃんも通ってたけれどな」
「小学校に何かあるの?」
「あそこの音楽室のベートーベンの絵だよ」
 今日もまた怪談を話すのだった。
「あれな。夜になったら動くんだよ」
「動くって?」
「そうだよ。目とか口が動くんだよ」
 ありたきりの学校の怪談を話す。
「俺のダチが昔見たんだよ」
「夜になんだ」
「ああ、それでな」
 恭介は今日も大輔に怪談を話していく。そうしてだった。
 大輔は恐怖に震えるのだった。大輔にとって夏の夜は涼しいものになった。


枕元   完


                        2012・7・25
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