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翠碧色の虹
第十四幕:寄り添う虹と距離を取る心
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りがとう。七夏ちゃん!」
七夏「昨日は、『あおさのお味噌汁』でしたので、今日は『おすまし』にしますね☆ おすましの方が、あさりの香りと風味をしっかりと楽しめます♪

七夏ちゃんは先ほどのあさりで、「おすまし」を作っているようだ。お玉から小皿へと、ダシを移して味見をしている。

七夏「えーっと・・・」

その様子を見ていた俺と目が合う。翠碧色になったその瞳に少し動揺する。

時崎「あ、ゴメン・・・じろじろと見てしまって・・・」
七夏「いえ・・・。あ、柚樹さん!」
時崎「え!?」
七夏「良かったら、味見してくれませんか!?」
時崎「いいの?」
七夏「はい☆」

そう話すと、七夏ちゃんは、お玉から小皿へとダシを移して、俺の方に差し出してきた。これは、今、七夏ちゃんが味見をしていた時に使っていた小皿だ・・・つまり・・・これは・・・所謂・・・更に動揺が大きくなってきた。

七夏「??? どうかしました?」
時崎「あ・・・いや・・・なんでも・・・」

七夏ちゃんの翠碧色の瞳を間近にすると、視線を逸らしてしまいそうになるが、差し出してきた小皿に視線を移し、手を伸ばす。

七夏「はい☆ どうぞ♪」
時崎「ありがとう」
七夏「どう・・・かな?」
時崎「いい味・・・だけど、ちょっと薄味かな?」
七夏「味・・・薄いですか?」
時崎「まあ、ほんの少しだけ・・・」
七夏「では、もう少し味を強めにしますね♪」
時崎「七夏ちゃんの、好みの味で構わないよ」
七夏「ありがとうございます! 私も少し味が弱いかなって、思ってましたので」
時崎「そうなの?」
七夏「はい☆ この本の通りに作ってみたのですけど・・・」
時崎「なるほど、分量は間違って無いけど、結果が思っていたのと違うという事か・・・」

俺は、小皿を七夏ちゃんに渡す。七夏ちゃんは、調味料を計量スプーンにとり、加える。そして、何やらノートにメモを取っているようだ。その後、お玉から小皿へと、ダシを移して再び味見をする・・・先ほど俺が渡した小皿だと思うと、顔が熱くなってきた。

七夏「えっと・・・このくらいかな・・・柚樹さん?」

そう話すと、七夏ちゃんは、お玉から小皿へダシを移して、俺の方に差し出してきた。この小皿は、七夏ちゃん→俺→七夏ちゃん・・・と、既に一往復達成している・・・だけど、熱くなった俺の顔をよそに、涼しそうな表情で小皿を差し出してくる七夏ちゃん・・・七夏ちゃんは、気にならないのだろうか?

七夏「??? どうかしました?」
時崎「あ・・・いや・・・なんでも・・・」

先ほどと同じような会話・・・。だけど、熱くなった顔に気持ちが持ってゆかれているからなのか、先程よりも何故か心の動揺は少なくなっている気がする。

七夏「はい☆ どうぞ
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